2010年03月25日

老い日記[7]――生誕18,563日

 気がつけば、左足中指の付け根にマメができている。このところの体調不良でランニングは休んでいるのに、なぜ? この、ぷっくり水ぶくれのマメは天罰か? だとすれば何の?  
 歳を取ると毎日毎日、起床するたびに、どこかしら体に不調がある。なぜか左手親指付け根の骨が異常に痛かったり、左のふくらはぎが突然つったり、寝る前より首こりがひどくなっていたり……。
 目覚めすっきり、「よっしゃぁー! 健康健康!」なんて朝は、もう二度と訪れてくれないのであろうか。

 胃腸炎でお世話になった病院に紹介状を書いてもらった、癌の専門病院に初めて出向く。今日は問診だけかと思っていたら、血液・尿検査、通常心電図&運動後心電図、胸部レントゲン&腹部レントゲン、胃内視鏡(胃カメラ)と検査・検査の嵐。さすがに専門病院は違う。ハイ、次は50番受付。ハイ、今度はGエリアね。ハイ、ハイ、と、まるで患者はベルトコンベアの上を流れる荷物のようである。

 運動後心電図検査で、ルームランナーを前に、「運動は大丈夫ですか?」と老人扱いされて思わずムッとなる。あのね、私ゃ東京マラソンにもエントリーしたんだよ(抽選で落ちたけど)。
 「全ッ然ッ、大丈夫っすよ!」。若者のように溌剌と答えながら裸足になり、ルームランナーに飛び乗って気づいた。そうだ、今日は足にマメが……。マメが……。
 たった3分間の早足歩き(時速4.8km)が、まるで拷問のようだった。
 検査技師に「最後の1分が長く感じたでしょう?」と言われ、「いやぁ、意外としんどいもんですね」と笑顔で答えようとしたが、息があがりすぎて何も言えない。

 手術日も4月27日に決まる。旗揚げ公演初日前になることを怖れていたが、際どくセーフ。とはいえ、芝居も手術も手を抜くわけにはいかず、これはかえって大変な決断ではないのか?
 気がつけば、左足中指の付け根にマメができている。気がつけば、胃壁の粘膜層に癌ができている。うーん、やっぱ重みが違うなぁ……。感心してる場合じゃないけど。

 今日、最も衝撃的だったこと。
 問診中に、「煙草は吸われますか?」「はい、1日に1箱くらいは吸ってますね」「手術の1カ月前から禁煙ですからね」「え……?」「(カレンダーを見て)あ、もう1カ月前ですから、今日から禁煙してくださいね」「(心の中で)……マジかよ?」
 直後に、ブンヤ魂(新聞記者魂)をメラメラと目覚めさせ、「喫煙が手術にどんな悪影響を与えるのか?」「胃の手術なのに肺のリスクとどんな関係があるのか?」などと質問攻めで食い下がる。
 医者は少しも慌てず、まるで罪人を慈しむように、実に冷静に、かつ論理的に説明してくれる。
 ……完敗。か細い声で力なく、「わかりました……」と答えたのであった。

 なのに一日がかりの全検査を終え、病院を出て自宅近くに戻ると、ドトールに直行し、煙草を吸う。だってぇ、まだ1カ月前じゃないもぉん。ドクターは1カ月前って言ったもぉん。
この男、人間失格である。

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これからお世話になる「白い巨塔」。さぁ、生きて帰れるか?

posted by 老い日記 at 18:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記