2010年05月30日

老い日記[73]――生誕18,641日/禁煙26日目

 
 一日中、室内に籠もって劇作家育成講座。4人の新人劇作家の卵を相手に10時30分から20時30分過ぎまで、みっちり9時間しゃべり倒す(途中1時間休憩)。
 メールで我が癌情報は回ってたらしく、みんなが心配してくれるが、「あー、全然変わってない」「もっと痩せてるかと思った」といった言葉に、期待外れのようなニュアンスを強く感じるのは被害妄想なのか?

 講座の会場は今回、米子市内の小さな公民館だったのだが、休憩時に玄関先の外に出ていたら、地元劇作家のSさんが煙草をくゆらせながら道向かいのビルを指さし、「あのビルが2人殺された殺人事件の現場ですよ」と言う。
 話を聞いてすぐ、「もしや、あの事件か?」と思い当たって聞き返したら、そうだった。
 鳥取地裁で去年、2人を殺した被告に対し検察が死刑を求刑しなかった、つまり検察側が弁護側に負けず劣らずの情状酌量を汲み取ったことで話題となった裁判があった。この事件は裁判員裁判で初の死刑求刑もあり得ると注目されていて、実は先月の旗揚げ公演『死ぬのは私ではない』のアフタートークでも中日新聞記者の片山夏子さんとこの裁判についてあれこれ話していた。その殺人事件現場だった。
 その「石谷ビル」は見るからに寒々しかった。ほかのフロアの会社も今ではすべて退去し、すっかり幽霊ビルと化していた。死体は屋上に放置され、3カ月後に発見されたときには腐敗が相当進んでいたという。事件が起こったのは昨年2月21日。もう1年以上が経過しているのに、まだ死体の腐臭が漂っている。そんな印象を与える殺伐としたビルだった。人間も建物も、一瞬にして崩壊へと突き進む。そういうこともある。

 講座終了後は講座の人たち数人と飲み会。自覚症状は少しもないのだが、病み上がりの体をいたわるつもりで「ホットゆず茶」なんぞを注文。戯曲の話も殺人事件の話もほとんどなくて、ひたすらバカ話で盛り上がり、0時半過ぎにホテルに戻る。
今日はおかげさまで、疲労感たっぷり。

殺人現場.jpg
殺人現場。周囲の建物が低いので、このビルの異様さが際だっていた。
posted by 老い日記 at 23:48| Comment(0) | 日記