2010年09月09日

老い日記[175]――生誕18,743日/禁煙128日目

 出かけるときにフロントで宅急便を渡される。我が身が編集長を務める雑誌の青焼き。超速便でのお届け。その事実だけで「さっさと仕事しろよ」というメッセージのようで、稽古に向かう前から気分はどんより。


 午後は『上通物語』の稽古を進めるが、代役ばかりでやればやるほど虚しさが募る。この稽古、意味ある?単なる時間の無駄じゃね? と何度も思う。その度に、いやいや少しでも前へ前へと我が身を駆り立てるが、今ひとつ燃えきれない。
  
 7時からは日航ホテルで行われている「熊本県芸術文化祭前夜祭」に、役者も含めた10人ほどでゲリラ的に押し掛ける。早い話が営業。県下の各芸術分野から計860人が出席する大パーティーなので、壇上で挨拶させてもらい、その後にテーブルを回ってチケットを売り歩くというドブ板作戦。
 でもなぁ……。乾杯の後の挨拶じゃ、ほとんど誰も聞いてないし、我が身も制作統括のO氏の後にマイクの前に立ったが、喋ってるそばから群衆の中の孤独のような気分を噛みしめる。つまり、効果ゼロ。役者に芝居のワンシーンでもやってもらったほうがまだ見てもらえたんじゃないかと、我が身のスピーチの不味さを棚に上げて切に思う。
 挨拶後に出席者名簿を見せてもらったら、華道80名強、茶道60名強、日舞70名強と大軍団ジャンルがある一方で、演劇はたったの2名……。話になりません。 しかし、芸術文化祭の前夜祭パーティーで、芸術文化祭オープニングステージのチケットを「お願いします」と売り歩かなくてはいけないなんて、なんとも不思議な現実。東京であれ地方であれ、「演劇は貧乏」という鉄則だけを突きつけられる。

 パーティーでは新聞社時代に世話になった写真部のSさん、Y先輩の奥さんに声を掛けてもらい、「おお、懐かしい」と、しばし昔にタイムスリップ。Sさんは「もっと老けてるかと思ったけど、全然若いね」とこちらがニマッとなるようなことを言う。ドブ板作戦がさほど効力を発揮しない中、老いたる演出家はこの言葉だけを収穫として受け取っておく。

 稽古場に戻って8時半過ぎから『上通物語』の衣裳パレード。登場人物が多いのと、ここでも人が揃っていないので、11時半までかかっても半分ほどしか進まず、途中で打ち切り。時間は刻々と迫れど、先は長いっす。

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前夜祭のパーティー。日舞や合唱も披露される。

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 司会のマイクを通した声が虚しく響く。「皆様にお願いがございます」……
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(0) | 日記