2011年11月06日

父親と母親の死。――[598]生誕19,167

 今回の新作『死に顔ピース』のテーマは在宅緩和医療。「家で死ぬ」ことを扱っている。去年、我が身が胃癌になったことで、癌はぐんと身近になった感があるが(ありがたくはないが)、我が父親も母親も癌で死んでいるので、もともと癌は身近な存在(嬉しくもないが)。
 
 思い返せば、父も母も病院で死んだ。
 母親は病院に診てもらいに行ったら即入院となり、余命3カ月と宣告され、そのまま一度も家に帰ることなく、宣告よりも短い2カ月でこの世を去った。母親が死ぬまでの2カ月間、「家に帰りたい」と口にしたのを聞いたことはなかったが、間違いなく帰りたいと思ったいただろうと思う。その願いをいつの時点で母は諦めたのか。それとも死ぬ間際まで、その望みを持っていたのか。母の日々じわじわと絶望していく心の旅を思うと、今さらながら哀れに思う。
 父親は肺癌で長患いとなり、何度か家に帰った。庭を眺めるのが好きだった父は帰宅すると、驚くほど落ち着いた表情になったが、それでもいったん苦しみだすと、家ではどうすることもできなかった。「起こしてくれ」「寝せてくれ」と数秒おきに言い続ける父を介護しながら、どこか腹が立っている自分に気づき、俺は人でなしだ、と思ったりした。
 
 今回の芝居は否応なく、父と母のことを思い出させる。しっかりと思い起こして、深く深く考え抜かなければ芝居はつくれない。新作を生むということは、それほどにしんどい心の旅を強いられるのだと改めて思い知らされている。
 初日まで、あと10日。
親の骨.JPG
父親と母親の骨。
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(0) | 日記