2011年11月07日

悪人が出ない。――[599]生誕19,168

 悪人の出ない芝居は面白くない。悪意のない芝居はつまらない。これを信条としている我が身にとって、『死に顔ピース』はなかなか手強い。「こいつ心底、悪人でしょう」という人が出てこないから。おまけにモデルがあるので、どこまで悪意(あるいは攻撃的な感情)を表に出していいものかと思い悩む。
 みんな悪人ではないけれど、立場や主張が違えば、相手にとっては「感じ悪い悪人に見える」という落としどころが一番落ち着きがいいし、ドラマとしても成立するだろうと思うのだが、この匙加減は意外と難しい。
 
 今回の舞台美術も敢えて逆をついて、ヒューマニズムとか明るいといったイメージを全面的に排除している。「どんなヒューマニズムも関係ない人から見れば他人事」。このコンセプトのもと、美術がつくりだす世界は真っ黒に。そこで人間的ドラマが繰り広げられるほうが、より胸を打つ。……はず、と思って今日も芝居に明け暮れる。
 性悪説なんですね、私。改めて思い知りました。
『死に顔』1.jpg
『死に顔ピース』の舞台美術。シンプルながら様式美が漂う。
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(0) | 日記