2012年06月10日

強制収容所か? ――[815]生誕19,384日

 今日も午前10時からストレッチ開始。オノレの劇団でもこんなに早い時間からわっせわっせと体を動かすことはないので、老体演出家にとっては、ウォーミングアップが終わっただけで早くもホテルに帰りたくなる。

 もちろん帰れるはずもなく、その後も「DOCS」メンバーひとりひとりの体や声の癖を素早く見抜きつつ、基礎訓練にたっぷり時間をかける。

 その後、ようやくキャスティングのための本読み。メンバー全員から役の希望を採り、ひと通り読ませてはみるが、「もっと気持ちのアップダウンを大きく!」「なんでそんなに喋りが遅い?」「いやいや、ただ速いだけじゃダメでしょ。言葉をちゃんとイメージしてる?」「だから、そんな一色で喋っちゃダメなんだって」
 ダメ出しは止まらなくなり、あれやこれやと指示を出してなんとか「変わろうとする様」を見ようとするものの、若者たちは2ミリほどしか変わらない。
 頭に来て、トレーナーの3人(地元の俳優)と出しゃばり演出家とで2シーンぐらいを実際にハイテンションでやってみせる。 どうだ、恐れ入ったか。

 君ら若いんだから、これくらいのことやってくれよ。そう思いつつ再び若者たちにやってもらうが、それでも奴らは2ミリほどしか変わらない。やはり彼らに『ゴジラ』は無謀なのか……?

 今日も午後8時に稽古を終えて、それから事業担当のNさん、プロデューサーOさん、地元トレーナーの3人とでキャステイング会議。難航しながらも、結局はアンサンブルのバランスを重視して、どうにか決定。
 やれやれと、終わってみれば午後10時近く。つまりは朝10時から夜10時まで12時間労働。ちょっとお、Nさん、これ働かせすぎでしょう?ここ広島は強制収容所か?
 当然、誰もが疲れ果てて、今夜はいつものように居酒屋に流れることもなく、ホテルに直帰。疲労感だけを抱きしめる。
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梅雨入りした原爆ドーム。

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2012年06月09日

過大評価? ――[814]生誕19,383日

 今年も広島「DOCS」、夏の公演に向けた稽古がスタート。今日・明日の2日間で上演脚本を決め、キャスティングまで決定しなければならない。

 今年の参加者は男子5人、女子7人の計12人。去年はリピーターが多かったので、さながら劇団のようであったが、今年は12人のうち8人が新メンバー。これまでとはまたガラリと雰囲気が違う。メンバー同士も初対面が多く、誰もがまだまだ手探りでよそ行き顔。わずか10日間の稽古で作品をつくるという無謀なこの企画、この短期間で彼らは劇団のようなチームワークを獲得できるのだろうか。

 朝10時から時間を掛けてストレッチ、体のコントロール、発声などの基礎訓練をやった後、演目の最終候補になっている3本の戯曲を読む。
 『報道センター123』(作:迦陵頻伽)、『ゴジラ』(作:大橋泰彦)、『三月記−サンゲツキ−』(作:亀尾佳宏)
 戯曲としてはやはり圧倒的に『ゴジラ』が面白い。しかし、80年代小劇場ブーム最盛期を思わせるこの戯曲、まくしたてるようなセリフ術、終始ハイテンションなエネルギーと役者に要求されるレベルも相当に高い。
 今年の「DOCS」も総じて女子のほうが演技が達者。男子はパワーも技術も今ひとつ。
 午後8時に稽古を終えて、その後、地元トレーナーや事業担当者のの面々と脚本選定会議。
 「これに決めるなら、こちらも相当の覚悟が必要だなあ」と意見した上で、一応『ゴジラ』に決める。
 おいおい、大丈夫なのか? 奴らを過大評価してないか……?と不安に駆られながらも、そのまま雪崩れ込んだ酒の席ではストレスを発散させるがごとく食いまくる。

 ホテルへの帰還は午前0時過ぎ。きっとまた太る。
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東京は「パスモ」、広島は「パスピー」。

ネーミングにもカルテルはあるのか?

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2012年06月08日

脱・現状追認。 ――[813]生誕19,382日

 野田総理が大飯原発再起動を明言。ああ、この人も現状を追認するだけの三流政治家であったか。それにしても何のメッセージ性もない記者会見。仮にも一国のトップなら、まずは未来を見据えたメッセージをこそ語るべきだろうに。

 これを受けて語った国会事故調・黒川委員長の「先進国の流れの逆を行っている。日本という国の信頼のメルトダウンだ」という言葉のほうが遙かに説得力をもって心に響く。

 今日は朝から会議で西新宿。常務理事会、理事会と立て続けに2本立て。ありがたや、ありがたや。

 こちらでは先を見据えた展望がいくつか語られるが、その具体的な方策と実務がなかなか伴わない。なるほど、組織が新たな方向に大きく舵を切るのは確かに難しい。そうは思うが、もどかしさも消えない。

 午後、とうに締め切りを過ぎている(おいおい)原稿をバタバタと終わらせ、あたふたとパッキングを済ませ、しゃかしゃかとキャリーケースを引きずって羽田へ向かう。
 ああ、だんだんと時間に追われるだけの日々に陥っている。いかんぞ、これは。現状を追認するだけのオノレになってしまっては、いかん。そう思いながら機内では迷わず爆睡。
 午後8時過ぎに到着した広島は今日から梅雨入り。よっしゃあ、雨ニモマケズ、ホテルでは溜まっている書き物仕事をバンバン終わらせるぞお。
 そう息巻きながら、まずは腹ごしらえ。まずはサッカーワールドカップ最終予選テレビ観戦。まずは、まずはで、ただ今既に午前2時過ぎ。この男、現状を変えられそうにありません。
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このペイントで、どれだけ集客効果があるのでしょう?
(写メを撮る人、結構多し)
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2012年06月07日

保守と革新の闘い。 ――[812]生誕19,381日

 新国立劇場で『サロメ』を観る。平野啓一郎氏の新訳はわかりやすく、サロメの新たな人物像に迫っているが、どうも演出との相性が良くない。サロメの無邪気さゆえの残酷さを浮き彫りにするのなら、あの、おどろおどろしい演出は裏目に出るのではなかろうか。今回の平野訳は、まばゆい夏の日のように明るい世界で展開させてこそサロメの残酷さが際立つ気がする。それこそカミュの『異邦人』のように。

 『みんな豚になる』は少しずつ少しずつ前進。しかし改訂版とはいえ再演は難しいね。初演をなぞりたがるオノレと、初演から離れたがるオノレとの、頭の中での闘いが常につきまとう。大げさに言うと、保守と革新の闘い。といっても俳優たちにしてみれば、知ったこっちゃねーよ、ってことなのだが。
 あのね、自己模倣が始まったら、それは終わりの始まりなんだよ。と我が身によくよく言い聞かせることにする。

 そういえば、今日の『サロメ』も保守(演出)と革新(新訳)の闘いだったような気がしてくるな。
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53歳ですが、いっぱいいっぱいです。
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2012年06月06日

名ばかり歓迎会。 ――[811]生誕19,380日

 朝から会議で西新宿へ。演劇と教育委員会。ワークショップ交流を続けよう。セミナーも開こう。できることを具体的にバシバシ決めてはいくものの、学校の現場に演劇を組み込んでいくのは難しい。やはり大学の教育学部に「演劇教師」になれる仕組みが組み込まれないことには、いたずらな右往左往が続くだけなんじゃないかと思ったりする。

 夜は劇団の制作会議。2時間半ほどでバタバタと無理やり終わらせ、そのあと劇団メンバー全員そろって今年の新人T&Hの歓迎会。およびベテラン女優Yの出戻り、お帰り会。
 久々に劇団のメンツだけで酒を飲んだのだが、歓迎会と言いつつ、「かんぱーい!」とグラスを合わせた後は、主役の若手2名はまったくと言っていいほど話題にのぼらず、ほぼ放置。乾杯直後に「んじゃ、後でそれぞれ今後の抱負を話してもらうから」などと前振りまでしたのに、まったく無視。世間なんてね、そんなものなんだよ、と身をもって教えておく。

 こうして誰に気兼ねすることもなく飲む酒の席は、すこぶる楽しいですなあ。(あれ?俺だけ?)
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大好物です。ガキの頃、木に登って直接もいで食べてた。
懐かしさも手伝って買おうと思ったら、た、高……!
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2012年06月05日

怠け者でしょうか。 ――[810]生誕19,379日

 気がつけば、いつしか6月になだれ込み、既に5日が過ぎている。やらねばならないことは山ほどあるので、稽古で疲れた体を引きずっての帰り道、帰宅したらまずはアレやって、次にコレやってと、ささやかにシミュレーションはしてみるのだが、いざ帰りつくと、まずは一服。まずは軽く腹ごしらえ。まずは今日のニュースのチェック。……
と、やらねばならないことはどんどん後回しになり、さぁてと、ようやくパソコンに向かう頃には、もう何もする気がなくなっている。

 人はこれを「怠け者」と呼ぶのでしょうか?

 午後、N大で演劇制作の勉強をしているという女子大生から取材を受ける。なんでも『誰も見たことのない場所』水戸公演を観て、いたく感激してくれたらしく、自ら「電力不足」をテーマにした新作ドキュメンタリー・シアターを企画したいとのこと。
 それで問われるまま、ドキュメンタリー・シアターの製作過程について伝授したのだが、この女子大生、普通なら「そうですね」「はい、わかります」などと答えるべきところで、すべて「イエス」と返事する。最初、ん?今、イエスって言ったか?と耳を疑ったが、その後も「イエス」をごく当たり前のように連発する。最近の女子大生って、みんなこうなのか? 「欧米か」と突っ込みたい気持ちを必死で抑える。
 同時に、自分の公演プランを生き生きと語る女子大生のきらきらした目が「怠け者」のオッサンにはひたすら眩しい。
猛犬に.JPG ねえねえ続きは? 猛犬に注目? 猛犬に挑戦?
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2012年06月04日

ボロ雑巾のように。 ――[809]生誕19,378日

 本日、老体には過酷この上ない稽古のダブルヘッダー。
 午後、S高校で女子高生軍団の毒気に当てられながらも、ひたひたと迫り来る本番に果たして間に合うのかと恐れつつ我が身を鼓舞しながら、『I's−アイズ−』の稽古。
 夜は西新宿で、一筋縄ではいかない若手との不毛な闘いに明け暮れながら、『みんな豚になる』の稽古。
 月曜は過酷だ。
 いずれにしても精神衛生上、よろしくない。
 しかもこの先、当分休みはなく、帰宅した途端に疲れがどっと出て、ボロ雑巾のようになる日々が恐らく続く。
 「アリナミンV」だの「リゲイン」だの、日ごろはまったく飲まない疲労回復剤を10本くらいガブ飲みしたい衝動に駆られるが、それはそれで体に悪そうで、ひたすらボロ雑巾になって一日が過ぎてゆく。

 誰か、シャキーン!とイッパツで体力を取り戻せる方法があったら、伝授してください。マジで。
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S高校の前に立つ大きな看板。周りには人が集まるような場所は何もないので、恐らくS高校の生徒(しかも女子限定)のためだけに、これだけの広告料を払えるジャニーズ、恐るべし。儲かってるんですなあ。
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2012年06月03日

何のために走ってる? ――[808]生誕19,377日

 昨日のリベンジとばかりに今日も途中で書き物仕事をほっぽり出して走りに行く。
 さすがに日曜ともなるとランナーがあっちにもこっちにも出没。老いも若きも男も女も、皆さん黙々と走っている。もちろん膝の悪そうな人は一人もいない。
 「走ってるときに何を考えてるんですか?」
 よく尋ねられる質問だが、実は何も考えていない。
 よし、走りながら演出の構想を練ろう。発想が行き詰まったから走って頭を整理しよう。そんな殊勝な野望を抱いて走り出しても、ものの5分もしないうちに、「ああ、今日は足が重い」「呼吸の乱れがいつもより早くないか?」「どうする?今日は40分でリタイアするのか? どうする、どうする?」……そんなことばかりが頭をぐるぐる回り始め、あとはひたすらオノレの意地とだけ向き合い、「ああ、苦しい」「ああ、俺何のために走ってるんだろ?」「ああ、まだ予定の半分かよ」……そんなことしか頭に浮かばない。つまり、建設的なことは何も考えていない。

 そう考えると、何のために走っているのやら。……わからん。

 夕方から『みんな豚になる』の稽古。
 本番では会場の吉祥寺シアターをとんでもない使い方をするのだけれど、今は小さな稽古場なので、「実際はたぶん、これくらい動きに時間がかかる」「恐らく、ここはこうなる」と、たぶん、たぶんで稽古を進める。申し分のない広さのある稽古場があれば、もっと効率よく稽古は進み、そのぶんクオリティもぐんぐん上がるのにと思いつつ、とりあえずは目先の一歩だけを見つめて走り続けている。

 何も考えていないわけではないが、どこか我が身のランニングと似ていなくもない。この稽古、何のために走っているのか? ……と考えるのは我が身の健康のためにやめておく。
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「火への鈍感」。思いつきそうで思いつかないフレーズ。
勉強になります。
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2012年06月02日

ランニングは体に悪い? ――[807]生誕19,376日

 我がことでありながら、まことに体というものはよくわからない。このところ快調だったランニングが、いきなり不調になる。足が重い、体が重い、呼吸が苦しい。ついには40分過ぎたところで足が止まる……。
 なぜだ? なぜだ? と思いつつ帰ってシャワーを浴びれば、どうしたわけか熱が出てきて全身がだるい。
 もしやランニングは体に悪いのではなかろうか。
 何事もすぐに影響を受ける自分というものがないオッサンは、今週の「週刊新潮」にあった「あなたの痩せないダイエット」という記事を読んで、なぁんだ、ランニングだけで痩せるわけないんじゃん、とがっかりしたのだが、その「がっかり感」を引きずったまま走りに出たのがよくなかったのか?それが突然の不調を呼び込んだのか?
 オッサン。もっとオノレを信じましょう。人は人。雑誌は雑誌。オノレが信じるまま、楽しみながら走りましょう。

 もちろん人生も。

 『みんな豚になる』の稽古に今日から23歳の若きイケメンKが参加。ランニングで体調の悪くなった演出家もいじめ甲斐のあるKをいたぶりながら、徐々にパワーを取り戻す。やっぱり「ドS」でいられるときこそ、このオッサンは輝く。(バカですな)
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この芝居、比類なき「ドS」キャラが登場します。

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2012年06月01日

気にすることは何もない。 ――[806]生誕19,375日

 胃癌手術から丸2年が経過。そろそろ癌が再発する頃かもしれぬ。5月22日の検査は果たしてどうだったのか?
 気にしつつ、G病院に出向く。ほぼ予約時間ぴったしに、PHSで呼び出されて診察室に入る。久々に会うY医師は小部屋の中でパソコンの前に陣取り、いつものように穏やかな顔で、「2年が過ぎましたが、その後どうですか?」。
 ぬ、ぬ……。もしやこれは宣告の前の静かなる導入か?と疑心暗鬼になって「自覚的には特に何もないです」と答えると、「そうですか。特に問題ないようですね」。
 しかし不安の拭えない男は、細胞を取ったことなどを「気になってたんですけど」などと追求するが、Y医師は「少し荒れてましたけど、癌ではありませんでした」「胃炎になってるんですか?」「胃炎というほどでもないです。今回の検査結果では気になさることは何もないですよ」。
 おお。きらきらと日が射してくるようなお言葉。「気になさることは何もない」、なんて素敵な言葉なんだ。
 すっかり気をよくし、言われるがまま1年後の検査日を決めて診察室を後にする。支払いを済ませ病院を出て時計を見れば、病院に到着してから25分しか経ってない。相変わらずG病院は無駄がない。
 この後、稽古場に向かう足取りはもちろん軽やか。
 というわけで憎まれっ子、もう少し世にはばかります。
病院内でピアノの生演奏.JPG
病院内でピアノの生演奏。
検査異常なしの身には一段と心地よく響く。
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