2012年06月07日

保守と革新の闘い。 ――[812]生誕19,381日

 新国立劇場で『サロメ』を観る。平野啓一郎氏の新訳はわかりやすく、サロメの新たな人物像に迫っているが、どうも演出との相性が良くない。サロメの無邪気さゆえの残酷さを浮き彫りにするのなら、あの、おどろおどろしい演出は裏目に出るのではなかろうか。今回の平野訳は、まばゆい夏の日のように明るい世界で展開させてこそサロメの残酷さが際立つ気がする。それこそカミュの『異邦人』のように。

 『みんな豚になる』は少しずつ少しずつ前進。しかし改訂版とはいえ再演は難しいね。初演をなぞりたがるオノレと、初演から離れたがるオノレとの、頭の中での闘いが常につきまとう。大げさに言うと、保守と革新の闘い。といっても俳優たちにしてみれば、知ったこっちゃねーよ、ってことなのだが。
 あのね、自己模倣が始まったら、それは終わりの始まりなんだよ。と我が身によくよく言い聞かせることにする。

 そういえば、今日の『サロメ』も保守(演出)と革新(新訳)の闘いだったような気がしてくるな。
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53歳ですが、いっぱいいっぱいです。
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(0) | 日記