2012年09月10日

久々の西東京。 ――[907]生誕19,476日

 今日から『誰も観たことのない場所』の実寸稽古。仕込みは舞台監督Kさんおよび俳優メンバーにお任せして、打ち合わせの立て込んでいる演出家は社長出勤で田無へ。
 久々の西東京市民会館。考えてみれば市民会館を稽古小屋として使っているのだから贅沢と言えば贅沢。しかし照明を使うと会館使用料が跳ね上がるため、ビンボー劇団は午後は薄暗い舞台のまま稽古にいそしむ。

 さすがに夜間はシーリング1台1区分100円で何台か使用。照明が入るとその明るさに、「おお、よく見える」と初めて文明に触れた未開人のように演出家は歓声を上げる。

 劇団のベテランOがまだまだ客演の真っ最中なので(今日が千秋楽)、稽古はOの出ない場面を冒頭から順次、動き等も確認しつつ進めていく。
 しかし、セットも立て込んだ実寸稽古は手狭な稽古場では見えなかった部分があらわになってきて、演出家はかえって危機感も覚えるが、流れがスムーズになるまで各場を2、3回ずつ繰り返す。
 午後10時前に退館。本日は台本の半分弱まで進んだところで終了。稽古できるのはあと3日。

 新生『誰も観たことのない場所』、間に合うのか?
2012-09-10.JPG

牛? ゆるキャラ? と思ったら「ひつじ」だった。
……見えない
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(2) | 日記

2012年09月09日

ダブルヘッダー観劇。 ――[906]生誕19,475日

 明日からの『誰も見たことのない場所』実寸稽古に備え、倉庫からの荷出しの日。だが傲慢演出家はそんな地道な作業は劇団メンバーに任せて、ダブルヘッダー稽古から束の間解放されたというのに、ダブルヘッダーで芝居を観る。

 昼は東京芸術劇場でハンガリーの「劇団オルケーニ」の『ショックヘッド・ピーター』。この芝居、10年以上前にロンドンで観て未だに印象が強く残っているのだが、これはそのリメイク版。さてさてどんなふうに生まれ変わっているのだろうと期待に胸膨らませていたのだが、ずいぶんチープな仕上がり。奇術的な要素は大きく後退、舞台も簡単なつくりで、仕掛けの面白さはほとんどなし。

 ……そうだよな、これだけチープなつくりにしないと海外公演なんて難しいよなと妙なところで納得しつつも、あの衝撃を今一度と思っていた我が身には物足りないまま終演。

 夜は三鷹の星のホールで「マームとジプシー」の『ワタシんち、通過。のち、ダイジェスト。』を観る。恐らくこの集団の特徴なのだろうが、同じ会話が延々と繰り返される中で少しずつ本心がこぼれ出てくるという展開に、今の若者たちは自分の本心を語るのにこんなにも手続きが必要なのかとオジサンはなんともむずがゆい。俳優がリアルな動きでなくパフォーマンス的な繰り返し動作をしながらセリフを言うのも、それだけ俳優に無駄なことをさせまいとする演出の狙いがあるのだろうが、動きそのものが洗練とは程遠いので、これまた長時間見せられるのは辛い。

 しかし観客席は圧倒的に若い層で占められ、ほぼ満席。こうして老兵は時代に取り残されて行くのかもしれない。

 そういえば、昨日まで一緒に稽古していた新国立演劇研修所7期のO君と『ショックヘッド・ピーター』でばったり会い、おお、こんなところで、と驚いていたら、夜の「マームとジプシー」で今度は同じ7期のH君と鉢合わせる。彼らも確か稽古がOFFの一日のはずだが、それぞれちゃんと充電してるんだ、感心感心と、オジサン演出家はすっかり親心になっている。

 観劇の勢いに乗って、夜中になってからDVDで以前から観たかった映画『大鹿村騒動記』を観る。
 原田芳男、大楠道代、岸部一徳、佐藤浩市、三國連太郎、石橋蓮司と名優だらけの豪華競演なのに、力の抜けた大人のメルヘンのような上質な仕上がり。阪本順次監督は我が身が言うのもおこがましいが、さすがに達者。アップと引き、その使い方が絶妙。場面の繋ぎ方もそっけないようでいて、時間の飛ばし方や登場人物たちの感情のジャンプが程よくて心地いい。

 しっかり、やる気を取り戻せました。
2012-09-09-1.JPG

今日はあっちこっちで祭りの行列に遭遇。これは池袋。
2012-09-09-2.JPG

こちらは高円寺。ただのダラダラ行進にしか見えない。
2012-09-09-3.JPG

『ショックヘッド・ピーター』。悪意が薄まっていて残念。
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(0) | 日記

2012年09月08日

開けてみせるけどさ。 ――[905]生誕19,474日

 『少女仮面』はスタッフワークに手こずり、なかなか先に進めない。明日から1週間の休みに入るというのに、稽古はまだ台本の3分の1にも届かず。もっとエンジンの回転数を上げねばと思いつつ、いやいや、これは授業なのだから俳優としてのスキルアップに繋がらなければ意味がないと我が身に言い聞かせ、結果、場面をつくり上げることよりも研修生の基礎的な演技技術のことにばかりにビシビシとダメを出す。

 ああ、これではエンジンの回転数は全然上がらない。ホントにこれで1本の芝居として形になるのだろうかと不安を覚えたところで今日も時間切れ。(くそおおお)

 6時からは50メートルほど移動して別の稽古場で『誰も観たことのない場所』の追い込み稽古。

 ダブルキャストで稽古を続けていて未だキャスティングを確定していないいくつかの役をもういい加減に確定させなければならず、「よっしゃ、決めるでぇ」と張り切って演技に見入るが、若手は誰もが一長一短。決め手を欠いて、今日の稽古を終えてもまだなお、二つの役を確定できず。(くそおおお)

 そして気がつけば、あっという間に稽古に追われた1週間が終わろうとしている。いかんいかん、こんな調子で幕は開くのか。途端に演出家は漠然とした不安に襲われる。

 ま、それでも幕は開くし、開けてみせるけどさ。(うおおおお!)
2012-09-08.JPG

みんな遅れンなよ!
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(0) | 日記

2012年09月07日

時代と演劇。 ――[904]生誕19,473日

 正午から西新宿で我が劇団のF女史と会い、今後の制作打ち合わせ。相変わらず女史との打ち合わせは、一つの話が終わらないうちに縦横無尽に議題を飛ばしまくってくれるので、その危機感で演出家のほうは気が抜けない。

 その後、月曜に再会したロンドン在住の女優Sも交えて3人でランチ。女優SとF女史は初対面だったのだが、ロンドンでの生活がともに長いという共通点もあってか、すぐにあれこれと二人で盛り上がる。女の人って、つくづく「誰とでも井戸端会議」の才能があるんだなとオッサンはその様子を見ながら、半ば呆れつつ、ただただ感心。

 午後2時からは『少女仮面』の稽古。今日は少しでも進もうとアクティングエリアのバミリを取って、冒頭から少しずつ場面をつくっていく。しかし、なかなか進まない。やはり40年以上も前に書かれた戯曲を今の20代若者が体現するには時代のギャップがありすぎるのか、普通っぽく普通っぽく喋ろうとする研修生に、「もっとテンション上げて」「もっとフットワークを速く」「もっと上げ下げを大きく」と、気がつけば演出家は「もっともっと攻撃」だけしか口にしていない。

 ああ、かくもアングラは遠くになりにけり。

 午後6時からは『誰も観たことのない場所』の稽古。こちらは一転して、「装うな」「なんで形でやろうとする?」「普通に喋って、普通に」と、昼間に稽古とは真逆のダメを言い続ける。

 言いながら、う〜む、確かに時代はずいぶん変わったのだなと演出家は独り、しみじみ思う。
2012-09-07.JPG

「元プロ野球選手」って誰……?
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(0) | 日記

2012年09月06日

ごっつあんです。 ――[903]生誕19,472日

 午前中から我が劇団の女優Yと次回公演に客演してもらう男優Fさんともども「特急あずさ」に乗り込んで約2間20分、はるばる諏訪湖を望む町へ昼過ぎに到着。(あずさは残念ながら「2号」にあらず)
 今日は『産まれた理由』の取材。
 どうしても話を聞きたかった産婦人科のクリニックを訪ねる。ここの院長のNさんは、言わば不妊治療のパイオニア。減胎手術、非配偶者間体外受精、代理出産、着床前診断と次から次に我が国で率先して手掛け、何かと物議を醸してきた人物。
 いったいどんな話が聞けるのか、ブンヤ魂(新聞記者魂)をフツフツとみなぎらせて病院内に足を踏み入れる。
 まずは病院の広報担当の女性に院内を解説してもらいつつ案内してもらう。途中、今日産まれたという赤ちゃんを見ることもできてテンションはぐんぐん上がる。
 続いて、院内で駆け込み寺的な役割を果たしているカウンセラーの女性に取材。こちらのインタビュアーは女優Yにお任せ。「終わりが見えない」不妊治療を続ける人たちの苦悩を改めて思い知らされる。
 それからいよいよN院長への取材。広報担当の女性に「だいたい1時間……いや45分くらいでお願いします」と言われていたのに、ブンヤ魂みなぎらせるオッサンはあれこれと食ってかかり、時に意地悪な質問も繰り出し、N院長も負けてたまるかと思ったのか、とても70歳とは思えぬ張りのある声でどんどん饒舌になっていき、いつまで経っても話を打ち切る気配を見せず、終わってみれば取材は予定の2倍、約1時間半も経っている。
 いやぁ、面白かった。
 やっぱり一つのことを突き進んでいる人の話は言葉がキラキラしてますな。「あ、それ、いただきます」「あ、それも、ごっつあんです」。取材しながら、心の中で何度つぶやいたことか。すでに脳味噌が固まりつつある老人劇作家の頭ではとても生み出せないような名セリフの目白押し。堪能させていただきました。

 『産まれた理由』、めっちゃ面白いドキュメンタリーシアターになりまっせ。そう確信しながら病院を後にする。

 今日は6時から『誰も見たことのない場所』の稽古。なので夜7時過ぎには東京に戻る予定でいたのだが、一つ一つの取材が長引いて、再び「特急あずさ」で新宿に戻ってきたのは午後9時過ぎ。結局、稽古には出れずじまい。みんな、お許しあれ。

 でもま、それだけの価値はあったから、みんなが許してくれなくてもヨシとする。いやぁ、面白かった。
2012-09-06-1.JPG

取材させてもらったクリニック前には意味深な像が。
2012-09-06-2.JPG

ぶっとい柱にまたがって男どもが急斜面を滑り降り、時に死人も出るという、あの有名な祭り「御柱祭」の柱がコレ。
諏訪大社のお祭りだったんだね。
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(0) | 日記

2012年09月05日

玉砕の夜。 ――[902]生誕19,471日

 50過ぎのオッサンには連日2時から10時までの稽古は骨身に堪えるようで、帰宅するや何もする気が起こらない。
 おまけにダブルヘッダー稽古で目を酷使しているのか、このところ目の奥がじんじんとして、頭も重い。

 『少女仮面』『誰も観たことのない場所』、どちらもまだ稽古が始まって3日目だというのにオッサン、大丈夫なのか?

 それでも帰宅後、重い体を引きずってパソコン前にへばりつき、書き物仕事に食らいついてはみるが、見事、玉砕。おいおい、ダメだろ、玉砕しちゃ。と気を取り直し、それならばと、読まねばならぬ資料本への読書へと切り替えてみるものの、少しも中身が頭の中に入ってこずに、再び玉砕。

 ええい、やめやめ。今日はもう寝るべし。と思うが、溜まっている仕事の多さを考えると頭はくらみ、ふて寝に入る勇気もなく、だらだらと起きていて、すでに明け方5時近く。

  オッサン、大丈夫なのか?
2012-09-05.JPG

演劇の本は1冊もない。
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(0) | 日記

2012年09月04日

ドMのように。 ――[901]生誕19,470日

 ダブルヘッダー稽古2日目。
 『少女仮面』はスタッフ会議に四苦八苦。美術・照明から始めて、衣裳、小道具、音響、制作、いずれも研修生のプランをできるだけ生かそうと思っているので、そのぶん手こずるだろうと予想はしていたものの、午後2時から6時まで、終わってみれば4時間みっちり。それでも各スタッフ、保留項目を多々残しつつ今日は立ち稽古なしのミーティングだけで終わってしまう。

 焦るな焦るな。スタッフワークがきっちりしていないと舞台に命は宿らない。思わず深い溜息が出そうになる我が身にしつこくそう言い聞かせる。

 『誰も観たことのない場所』は中盤の3分の1ほどを通る。こちらは新キャストのパートが未だ安定せず(ほとんど稽古していないので当たり前だが)、ここでも焦るな焦るなと、できるところをダメを出しては返すという作業をしつこく繰り返す。

 辛抱辛抱。大いなる無駄の先にしか完成度の高い舞台は生まれない。そう我が身に言い聞かせ、ひたすらじっと、ドMのように耐え忍ぶ。

 しかし、「焦らず辛抱」ってのは知らず知らずストレスが溜まるものらしく、帰宅するや無性に突き上げてくる欲望のままにアイスクリームを三つも一気食いする。
2012-09-04.JPG

ロンドンから帰ったF女史からもらったお土産は、チェルシーのユニフォーム。夫婦揃って熱狂的サポーターのF女史からすれば人にあげるのも忍びないお宝だろうが、我が身にとっては……稽古着だな。
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(0) | 日記

2012年09月03日

祝・900回。 ――[900]生誕19,469日

 祝・900回。おめでたいんだかどうだかよくわからないが、とりあえずまだ大病もせず生きてまっせ、ということで。

 恐怖のダブルヘッダー稽古がスタート。
 半ば憂鬱な気分で新国立劇場の研修所に行くと、おお、そこにはロンドン在住の女優・Sの姿が……。彼女も研修所の講師を務めていて、毎年その期間に帰国するのだが、今年は我が身と同じ時期になった模様。
 「おー、S」と顔を見るや、どちらからともなくハグ。

 不思議だ。なぜロンドンで知り合った人たちだと、日本人同士でも自然にハグしてしまうのだろう。

 Sとの再会の喜びもそこそこに、すぐに『少女仮面』の稽古に雪崩れ込む。若者たちと一緒にオッサンもウォーミングアップで我が体を、うんせ、うんせ、と伸ばしていると、たちまち全身から滝のように汗がしたたり落ちる。うわ、健康的だわ、と思いつつも息は絶え絶え。オッサン、年寄りの冷や水はいけません。

 6時からは同じ敷地内で場所を移して、ワンツーワークスの『誰も観たことのない場所』の稽古。何度も上演している作品ではあるが、今回大幅にキャストが入れ替わるため、そこに留意しつつ、冒頭から3分の1ほどを通る。……うーむ、こちらも楽には進めませんぞ、という気配を感じつつ今日は終了。

 午後11時頃に帰宅すると予想通り、体はヘロヘロ。こりゃ辛く厳しい1週間になりそうだと、そのありがたさに涙が出る。(わけはない)
2012-09-03.JPG

祭りの準備。みんな盛り上がろうぜ。
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(0) | 日記

2012年09月02日

体力はいつまで。 ――[899]生誕19,468日

 夏休みが明けて明日からS高校でも後期の授業がスタート。なのだが我が身は、これまた明日から始まる新国立演劇研修所の『少女仮面』と我が劇団の『誰も見たことのない場所』のダブルヘッダー稽古でスケジュールはいっぱいいっぱい。
 やむなくS高校のほうはしばし代行を立てるべく、せっせと今日はそのテキストづくりに明け暮れる。
 しかし、すでに我が劇団の次回公演『産まれた理由』も現在進行中なので、今後しばらくは同時進行4本……!

 いったい老人の体力はいつまでもつのやら。
2012-09-02.JPG

小池! 人生はやり直せるぞ。(甘くはないが)
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(0) | 日記

2012年09月01日

目の奥がじんじん。 ――[898]生誕19,467日

 早くも9月に突入。大人になると、1年はあっという間に過ぎていく。さらに歳を取って大人から老境に近づくと退行現象と同じように、再び1年が過ぎゆくのは長いと思うようになるのかと思えば、さにあらじ。相も変わらず、びゅんびゅんと時は過ぎゆく。
 おーい、いつになったらのんびりと暮らせるんだ−?
 おーい、いつになったら余裕をもって生きられるんだー?

 と愚痴を何回口にしたところで、そのぶんの時間も過ぎてゆくだけなので、せっせと目の前の仕事に精を出す。

 このところ、また目の奥がじんじんと鈍く重い日が続いている。そんなに目を酷使しているのか?仕事のしすぎでパソコン画面と対面する時間が長すぎるのか? などと我が身を振り返りつつ、ついつい今夜も夜中にやっていロンドン五輪の総集編番組をたっぷりと見てしまう。要はテレビの見過ぎのようで。(仕事はどうした、仕事は?)

 本日、劇団ではDM発送作業にいそしんでいたのだが、なんと、ここにきてチラシのミスを発見。次回公演のアフタートークに出ていただく劇作家の「霜康司」さんの名前が「霜康 司」と名前の区切りが間違っている……。あちゃー。

 申し訳ありません。「しも・やすし」さんが正解です。霜さん、及び霜さんファンの皆さん、ごめんなさい。許して。
2012-09-01.JPG

切実な思いが伝わってくる。
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(0) | 日記