2012年11月10日

巻きすぎじゃないのか。 ――[968]生誕19,537日

 今日は朝から新宿。ディレクターのSさんと打ち合わせ。
 ホントに初日が開くと、待ってましたとばかりに次から次へと別の仕事が待っていて、すでに軽い認知症が始まっているオッサン演出家は頭を切り換えるのが大変。

 不況不況でどこも観客は入らないと言いつつ、ここ東京では次から次へと芝居がつくられていく。

 その後、赤坂見附に移動して、本日は昼夜2ステージ。気がかりだった上演時間は、2時間3分を切るテンポの良さ。

 というか、少し巻きすぎ。「無駄に速い」とダメを出しておく。

 夜公演後は今日もアフタートーク・セッション。ゲストは産婦人科医の池川明さん。「胎内記憶」の第一人者。

 池川さんはいつも穏やかで話し口調も柔らかく、我が身とは見事にすべてが対極にあるような人で、話すほどに我が身の黒さを突きつけられて居心地が悪くなる。だからというわけではないが、劇中で池川さんを演じていた俳優Fさんもトークに招き入れて予定の30分はあっという間に終了。

 ところで、北京国際マラソンで日本国籍の選手は参加できないようになっているらしい。

 すごいな中国。スポーツにまで領土問題を持ち込んで喧嘩を売ってきやがる。日本のナショナリズムがますます高まって右傾化に歯止めがかからなくなるのではないか、とナショナリストを自認する我が身は自戒を込めて思う。
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色とりどり。
『産まれた理由』も多彩なエピソードがてんこ盛り。
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2012年11月09日

休ませてなるものか。 ――[967]生誕19,536日

 初日が開くのを待っていたかのように広島のプロデューサーOさんから原稿催促のメールが届く。少しでも休ませてなるものか。そういうOさんの愛をひしひしと感じる。感謝。(泣)
 
 『産まれた理由』2日目。
 昨日の初日が予想以上にスムーズにいったので、今日は「魔の2日目」で何かが起こるんじゃないかと少しひやひやしていたのだが、今日も何事もナシ。(そりゃあ、細かいことを言い始めたらキリがないけどさ)

 それでもまだまだ綱渡りの場面が多いのも確かで、「ここ、弱い」「ここ、つまらない」という場面は一応、本番前に通っておいたのだが、それが功を奏したか。

 今日はアフタートーク・セッションも開催。ゲストは劇作家・翻訳家にしてドキュメンタリーシアターにも詳しい霜康司さん。

 「ドキュメンタリーシアター」とひと口に言ってもその幅は広く、俳優が全員、本番でもイヤホンをつけ、インタビュー取材を聞きながらそっくりそのまま再現してみせる芝居もあるそうな。(これは芝居と言えるのか。だったら映像でやれよと思うが)

 終演後はその霜さんも交えて、打ち上げのごとく20人あまりで飲みに出る。やっとやっとでちょっとだけ、「みんな、お疲れさん」気分をオッサン演出家も味わう。

 とはいえ、仕事の捗っていないオッサンは、もちろん終電前に未練たらたらのまま、GO HOME。(泣)
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障害物の多いバスケットゴール。
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2012年11月08日

「仕事」になっている。 ――[966]生誕19,535日

 『産まれた理由』初日。開幕。

 なんてこともなく開く。フツーに開く。ごくごく当たり前のように。特に問題もなく。これが経験というか、長年やってるとそんなものなのか。もちろん、達成感も高揚感も何ひとつなし。だんだん「仕事」になっているのだなあ。改めて痛感。

 ただし、ドS演出家としては苛立ちもある。細かいトチリはあちこちに見られるし、出てきた途端に哀れなほどにガチガチに緊張しまくっているのがわかる。でもって台詞を噛むわ、トチるわ、そんな大馬鹿野郎もいる。
 わかってるのかなぁ、N君。キミのことだよ。

 基礎稽古のたびに「昆虫演技、昆虫野郎」と言われ続け(言っていたのは私ですが)、それでも人間の役をやらせてやろうと(今までも人間の役だったのですが昆虫にしか見えず)、しかも今回は、せっかく大トリの素敵な場面での素敵な役を振ったのに、これだもんなぁ……。明日からは頼むよ、N。

 しかし何はともあれ、無事終演。
 さぁて、ようやく晴れて一杯、行きますか。
 と、居酒屋に流れたい気分を泣く泣く抑え、演出家は劇場での初日乾杯のあとは、すごすごと独り寂しく帰路に就く。
 帰る途中に、デザイナーのNさんから、「合流してもいいですか?」とメールが入る。いいですよ、合流したら我が家へ来ることになりますが。

 Nさんには「今日は直帰です」と返信し、劇団のメンバーにNさんに連絡するよう電話を入れる。

 みんな今ごろ、「いやぁ、お疲れお疲れ」なんて言い合いながら、互いのトチリをあげつらいながら、ぎゃはぎゃはぎゃはと愉快な酒を飲んでることでしょうなあ。

 悔しさのあまり、せっかく早々に帰ってきたというのに、仕事がまったく捗らない。(飲めばよかった)
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「赤坂RED/THEATER」入り口。
14日までやってます。
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2012年11月07日

Yes,We Can! ――[965]生誕19,534日

 ゲネプロ前に朝日新聞の取材を受ける。文化部ではなく社会部というところが我が劇団らしいとも言えるが、現れた記者は夏に大阪での『誰も見たことのない場所』公演を取り上げてくれたM記者と同期の新人。
 チョー基本的な質問の連続に多少苛つきながらも(抑えて抑えて)、かつての右も左もわからなかったオノレのブンヤ時代を思い出し、辛抱強く、そのくせ「こんなこと言えば、もっともらしい記事になるでしょ、新人君」みたいな態度をあらわに演出家は上から目線で言いまくる。

 この男、ほんとに食えない。というか、何様?

 『産まれた理由』は2作目となるオリジナルのドキュメンタリーシアター。まだまだ手直しが必要な部分は散見するが、なかなか見応えのある芝居になってきた。通常の芝居より、時間も労力もはるかに要した新作。果たして報われるのか?

 アメリカ合衆国、ダラク・オバマ大統領が再選を果たす。
 「Yes,We Can」と誰もが吠えまくっていた4年前のような熱狂はないものの、だからこそ黒人大統領が今回ようやく定着したとも言える。しかしまぁ、今回はオバマさんでよかったんじゃないか。ロムニーさんは「いけ好かない」。……とこんなふうに印象だけで決め込むのは我が身も日本人ということか。
 さてさて、明日にはついに初日の幕が開く。

 Yes,We Can!
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濃霧で輪郭の見えないビル。(後ろのビルでっせ)
初日に暗雲立て込め……という予兆ではないよな。
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2012年11月06日

為せば成る。 ――[964]生誕19,533日

 朝から劇場入りして、ひたすら場当たりの一日。

 ご老体演出家にとっては目は酷使するし、演出席に張り付いている時間はイヤでも長くなるし、過酷な一日ではあるのだが、意外や意外、あれよあれよとスムーズに場面は進み、なんとか最後まで目途がつく。為せば成るのだなあ。いやいや、これはスタッフ、キャストの底力というものか。

 予想外に快調に進んだとはいえ、今日も10時30分に退館し帰宅してみれば、体はへろへろ。やっぱりなんだかんだで神経は疲労しまくっている。あー、マッサージに行きたい。

 しかしそんな願望も空しく、ぱんぱんに張った肩をさらに凝り固めるべく、パソコンに向かって、ちまちまと書き物仕事。

 田中真紀子文部科学大臣が3大学の不認可を撤回。おいおい、ここは踏ん張ってもよかったんではないのか。さすがに問題が大きくならぬうちに、二度目の更迭は避けねばと思ったのか。ちょっとがっかり。
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夜の赤坂に浮かぶ巨大ベッキー。こ、こわい。

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2012年11月05日

ぼそりと言われる。 ――[963]生誕19,532日

 いよいよ劇場入り。と言っても、今日は仕込みに終始。なので偉い偉い演出家は社長出勤で夕方入り。

 既に舞台美術は組み上がり、「ほう、ここで芝居をやるのかね」とまるで他人事のように舞台に上がってみては、あっちをうろうろ、こっちをうろうろ。と、演出家に声がかかる。「すいませーん、ちょっとそこいいですか?」。あ、俺?邪魔?

 なんせ状況は差し迫っているので、夕食休憩後から照明の明かりづくりと平行して(邪魔させてもらって)、ムーブメント、動線のチェックをできるところまで、わっせわっせと進める。いざ始めると気にくわない演技ばかりが目につくが、ここは我慢我慢とひたすら見て見ぬ振りをして流れをつくることだけに専念……すればいいものを、思ったことは言わないとストレスの溜まるお子様演出家はマイク越しに毒は吐いておく。

 と、演出家の横で明かりづくりに専念してるかと思いきや照明家のIさん、演出家の毒に対してボソリとひと言、「ホンット、何か言わないと気が済まないんだから」。……消沈。

 午後10時30分退館。んじゃ軽く一杯いきますか、という余裕はもちろんなく、赤坂見附からまっすぐ帰路に就く。

 さぁて。まさに舞台は整いました。明日の場当たりが勝負。書き物仕事も溜まりまくっているが、何より初日が大事。書き物に専念したくてもそこは我慢我慢と見て見ぬ振りをする。(素晴らしきかな現実逃避)

 JASRACが著作権使用料から過去30年間で最も歌われた曲を発表。3位の『ふたりの大阪』、2位の『居酒屋』というカラオケ定番デュエットソングを抑えて1位になったのはSMAP『世界で一つだけの花』なんだと。私ァ、この曲の歌詞が大嫌い。どう聴いても「傷の舐め合いSONG」にしか思えない。
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赤坂レッドシアターはまともな楽屋ないので、狭い通路に衣裳が山のように掛けられ、その先には冷蔵庫。不思議ワールド。
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2012年11月04日

安産となるのか。 ――[962]生誕19,531日

 実寸稽古最終日。構成を一部変更した流れをおさらいして、午後3時すぎから通し稽古。『産まれた理由』はようやく産まれつつあるが(無理やり陣痛促進剤を多用した感は否めないが)、安産となるかどうかはまだまだわからず。
 あとは劇場入りして初日までの3日間でなんとかスムーズな流れをつくるしかない。
 登場人物の出ハケ動線決め。置き道具の配置換えの構図づくり。照明・音響テクニカルの確認……。
 はい、とても終わりそうにありません。

 だが、それでも幕は開く。開けてみせましょうとも。

 午後6時すぎには稽古終了。お疲れ様でした。

 稽古場撤収は劇団メンバーに任せて、ご老体はそそくさと帰宅して書き物仕事に没頭。といってもパソコンの前に座っているだけで、頭は疲労しまくってちっとも働かない。

 田中真紀子文部科学相が来年度の新設を申請していた3大学を不認可としたことでバッシングにさらされているが、今回ばかりは田中大臣の言うことにも一理あるのではないか。
 「校舎の新築がもう3割は進んでるんです」って、それは大学側の勝手な見切り発車でしょう。この少子化の時代に大学ばかり増やしてどうするの。増やすなら保育園でしょう。

 と、『産まれた理由』の取材ですっかり洗脳されている単純演出家はそう思う。
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たぶん、と言われても。
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2012年11月03日

む、無理かも。 ――[961]生誕19,530日

 「ああ、今日は文化の日なのね」とたいした感慨も持たないまま文化活動に勤しむべく、今日も西新宿の稽古場でどっぷりと一日を過ごす。

 連日の睡眠不足と、そのせいなのか目の痛み……。次第次第に満身創痍になっていく老いぼれ演出家。無事に初日まで乗り切れるのか。体力なんてとっくに衰えまくっている我が身にとって、頼りになのは気力のみ。……む、無理かも。

 『産まれた理由』は稽古場での稽古が明日一日を残すのみだというのに、未だに上演時間とカットする場面の駆け引きに四苦八苦している。

 まぁ、考えてみれば40人の登場人物が一人3分しゃべれば、それだけで2時間だからね。重要人物は一人で10分近い場面もあったりするわけで、どう考えても2時間で収まるわけがねぇ。そうだろ?と開き直るわけにもいかず、この難問をなんとか気力のみで解決するしかない。……む、無理。

 フィギュアスケートのGPファイナル中国大会、ご贔屓の高橋大輔選手はまさかの後輩・町田樹選手に逆転負けの2位。 確かに出来はよくなかった。まだまだ滑り込みが足りない。いつもの「俺、目立つの好きだもんね」というオーラも感じられず。羽生弦選手といい若手の台頭が目覚ましい今シーズン。

 頼む、高橋大輔、まだまだ老いさらばえてないことを証明してくれ。日々老いさらばえていく演出家に勇気を与えるために。
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日の丸掲揚。さすがに交番は掲げます。
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2012年11月02日

報われない世界。 ――[960]生誕19,529日

 『産まれた理由』で取材をした人は計79人。こんなにも多くの人から「命を産むこと」についての話を聞いているわけだが、どの人の話も突っ込んで聞けば実に面白い。当たり前だが、そこにその人の人生が見えるから。こちらにちゃんとした聞く耳があれば、どの人生にも味わいがある。
 例えば、10年以上も不妊治療に明け暮れながら、ついに子どもを授からなかった人。反対に1回目の体外受精で子どもに恵まれた人。この2人を分けた理由はどこにもない。それが誕生の不思議でもあるが、この上なく残酷でもある。どんなに努力を重ねても報われない世界がここにはある。人生、努力すればいつかきっと報われるから。そんな甘ちゃん考えは通用しない。

 たぶん、こちらが人生の真実なのだろうなあ……。

 妊婦の血液を調べるだけで99%近い確率で胎児がダウン症かどうかわかる新型の出生前診断が論議を呼んでいる。今回は取材は間に合わなかったが、ホントに人間は「命を選別する時代」を迷うことなく突き進んでいる。
 なんとも恐ろしい気もするが、もし我が身に子どもが授かったとして、自分ならこの診断を受けるだろうか……?

 一方、不妊治療の高額費用を保障する新たな保険商品が登場しそう。金融庁が来年中に内閣府令の改正をめざし、保険会社が売れるようにする方針だという。こちらは現状を鑑みれば、当事者には福音となるに違いない。今ごろかよ、という気はするけれど。

 こうして「妊娠」をめぐるあれこれを考えつつ過ごした日々も、もうすぐ終わる。……ていうか、本番まだ始まってないし。初日まで、いやいや千秋楽まで、こうした思考を熟成させるんですよ、熟成。わかりましたね。はーい。2012-11-02.JPG
動物の多くは不妊治療とは無縁。(実写じゃないですが)
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2012年11月01日

カットに苦しむ。 ――[959]生誕19,528日

 『産まれた理由』は連日のごとく場面カットを繰り返しているにもかかわらず上演時間2時間27分。な、長い……。
 思い切って30分ほどばっさり切ってしまえばあっという間に片がつくのだが、登場人物のカテゴリーのバランス、俳優の出番が連続しないような計算、加えて一番大事なエピソードの重要度を一つ一つ考えながら切ろうとすると、どうしても小さなカットを繰り返すしかない。2、3日もすれば役者の台詞のテンポも速くなって10分くらいすぐに縮む縮むと思ったりもするが、それが淡い期待でしかないことは百も承知。
 自殺をテーマにしたドキュメンタリーシアター『誰も見たことのない場所』のときもそうだったが、劇場入りしてもぎりぎりまで上演時間を巡る駆け引きはケリがつかないかもしれぬ。

 薄々わかっていたことではあるが、産みの苦しみは延々と続く。(もしかしたら千秋楽まで?)

 福島第一原発の作業員が関電工を告発。昨年3月24日、3号機でケーブルを引く作業を行う際、関電工社員は「少々線量は高いが支障はない」と説明したものの、汚染水に浸かった4人は180ミリシーベルト前後を被爆。20ミリシーベルトに設定してあった電子型線量計の警報音は鳴っていたが、関電工社員は「誤作動もある」などと言って作業を継続するよう指示したという。

 ……ひどい話だ。やっぱり弱い立場の者を平気で犠牲にするんだね。下請けの関電工は東電から圧力を受けてただろうから、最も責任が重いはずの東電社員が一番安全なところにいるんだもんなぁ。愚劣な話だ、まったく。
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衣裳の山。『産まれた理由』の登場人物は40人以上。
……大変っす。
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