2012年11月02日

報われない世界。 ――[960]生誕19,529日

 『産まれた理由』で取材をした人は計79人。こんなにも多くの人から「命を産むこと」についての話を聞いているわけだが、どの人の話も突っ込んで聞けば実に面白い。当たり前だが、そこにその人の人生が見えるから。こちらにちゃんとした聞く耳があれば、どの人生にも味わいがある。
 例えば、10年以上も不妊治療に明け暮れながら、ついに子どもを授からなかった人。反対に1回目の体外受精で子どもに恵まれた人。この2人を分けた理由はどこにもない。それが誕生の不思議でもあるが、この上なく残酷でもある。どんなに努力を重ねても報われない世界がここにはある。人生、努力すればいつかきっと報われるから。そんな甘ちゃん考えは通用しない。

 たぶん、こちらが人生の真実なのだろうなあ……。

 妊婦の血液を調べるだけで99%近い確率で胎児がダウン症かどうかわかる新型の出生前診断が論議を呼んでいる。今回は取材は間に合わなかったが、ホントに人間は「命を選別する時代」を迷うことなく突き進んでいる。
 なんとも恐ろしい気もするが、もし我が身に子どもが授かったとして、自分ならこの診断を受けるだろうか……?

 一方、不妊治療の高額費用を保障する新たな保険商品が登場しそう。金融庁が来年中に内閣府令の改正をめざし、保険会社が売れるようにする方針だという。こちらは現状を鑑みれば、当事者には福音となるに違いない。今ごろかよ、という気はするけれど。

 こうして「妊娠」をめぐるあれこれを考えつつ過ごした日々も、もうすぐ終わる。……ていうか、本番まだ始まってないし。初日まで、いやいや千秋楽まで、こうした思考を熟成させるんですよ、熟成。わかりましたね。はーい。2012-11-02.JPG
動物の多くは不妊治療とは無縁。(実写じゃないですが)
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(0) | 日記