2013年02月17日

二重人格? ――[1067]生誕19,636日

 追い込み稽古は日々、着々と進む。
 連日、登場人物の内面を掘り下げる作業に時間を掛けて取り組んでいるわけだが、『奇妙旅行』は内容がハードなだけに、稽古も実にしんどい。
 終盤に行くほどに女優陣は涙あふれまくり、それを見ている演出家も涙目で、「違う違う」と前に出て行ってやってみせればオッサン自らダラダラと涙たれまくる。
 「んじゃ、もう一度」とやってみれば、出番が終わって引っ込んだ女優はまだ場面は続いているのに稽古場の隅でおいおいと泣きじゃくる。「だから、ここの気持ちはさぁ」と説明しながら演出家はまたもやむせび泣く。
 さながら稽古場は阿鼻叫喚。とめどなく泣きまくる女優陣。負けじと涙を流しまくるオッサン演出家。それを冷ややかに半ば呆然と見つめるバカ若手男優陣。……見事に気持ちの悪い現場が連日続いております。

 10時に稽古を終えて、演出助手Tをファミレスに連れ出し、さっきまで涙目だった演出家は一転して眉間にしわ寄せ、Tの仕事のできなさぶりをなじりまくる。
 「整理能力がないんだよ。ちゃんと自分で整理するルールをつくらなきゃ。俳優の出ハケはまとめて書くとか、テクニカルはマーキングするとか、頭に入りやすいように誰だって自分なりに整理するだろ?
受験勉強と一緒だよ」と演出家がまくし立てると、若き演出助手が返したひと言は、「僕、受験勉強やったことないんで」。平然と言い放つ。
 一度、死ね。
 おかげで怒りに火のついた演出家は、さらに鬼のようになってまだ20歳の若造に罵声を浴びせ始める。とても先ほどまで泣き濡れていたオッサンと同じ人物とは思えない。もしかしたらこの男、二重人格なのかもしれぬ。
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稽古場で舞台監督が控える場所も日々、雑然とした職人工房のようになっております。
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(4) | 日記