2013年04月10日

恐怖は始まっている。――[1119]生誕19,688日

 午後、東京芸術劇場プレイハウスで『おのれナポレオン』を観る。この上なく豪華なキャスティングながら、ほとんどが説明的な独り語り、あるいはせいぜい二人での場面がほとんどで、豪華俳優のアンサンブル演技は最後まで観られず。
 なんとも勿体ない。多忙を極める人たちだから、一人あるいは二人揃えば稽古ができることを念頭に脚本を書いたのかと勘ぐりたくなる。残念。

 その後、一緒に観に行った元広告プランナーのCさんとお茶しながら、今観た芝居の感想をあれこれと言い合う。さすがCさん、伏線の張り方などしっかり見抜いている。(Cさんは面白かったそうな)

 今日は我が劇団の稽古はお休み。
 さぁ、溜まっている仕事を片付けましょうと張り切ってはみるものの、10分もしないうちに、あ、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ、と気ばかり散って、少しも落ち着かない。本腰が入らない、ってやつですね。
 と、他人事のように言ってる間にも刻々と時間は過ぎていき、やがて締め切りの嵐に終われまくる八方塞がりの状態に陥って初めて、身の毛のよだつ思いに駆られることになる。

 恐怖は既に始まっている。
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隠れスカイツリー。ど〜こだ?
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2013年04月09日

溜まっているのか?――[1118]生誕19,687日

  午前中から会議で西新宿へ。常務理事会。さまざまな議題が出るが、どれもこれも翻って考えれば「経済問題」。アベノミクス効果が演劇などという最も経済効率の悪い分野にまで波及してくるのは、果たしていったいいつの話なのだと独りごちる。

 12時すぎには会議終了。それから雑事に追われ、書き物仕事もそこそここなし(そこそこ、ね)、夕方から再び西新宿に向かって、『恐怖が始まる』の稽古。
 昨日、老いぼれ姿をあらわに、哀れに稽古場から姿を消した長老俳優Oも今日は参加。ならば、とドSの演出家は病み上がりのOに、「ちょっと動いてみて」「ちょっとやってみせて」と拷問のように体を酷使するムーブメントの指示を繰り出す。

 O爺さん、若いね。昔取った杵柄と言うべきか。ドSの要求も軽々とこなしてお見事、お見事。やんややんや。

 稽古後、顔合わせを兼ねた飲み会で、キャスト全員と居酒屋へ。「よろしくお願いしマース」と乾杯したあとは、みんな食う食う。まるで暴飲暴食の会のような……。

 みんなフラストレーションが溜まっているのか?
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『恐怖が始まる』、始動しました。

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2013年04月08日

強者もいる。――[1117]生誕19,686日

 新作『恐怖が始まる』の稽古がスタート。
 いやはや、早いね、時の流れ。待ってもくれないし、歩みを緩めてもくれない。気持ちのほうが全然追いついてくれないね。
 などとは、もちろん言ってる場合ではないので、粛々とやるべき稽古を進めてゆくのみと思って気持ちを新たに稽古場に入れば、ベテランOが壁にもたれ足を投げ出して座り、「ここはどこ…?
私は誰…?」といった風情で、わっせわっせとアップに汗を流すみんなの輪から独り外れて、ぽつねんとしている。
 「なに、具合悪いの?」と聞けば、「すっごく悪い」とひと言。
 なんだよ、稽古初日だというのにやる気をそがれるなぁと思いつつ、「じゃ帰れば?」と言うと、「……ウン」と心ここにあらずの返事で動こうとはしない。何だよ、帰らないのかよと思っていると、しばらくしてから今ようやく頭の回路が繋がったかのように、「帰って寝るか」と誰に言うでもない声を出して、おじいちゃんはすごすごと帰って行く。
 風邪とかじゃなく、痴呆症なんじゃね? 見送りながら、演出家は暗澹たる気持ちでそう思う。

 稽古後、客演の俳優も含め5人で居酒屋に流れる。
 芝居にまつわる四方山話のあとに原発の話題になったところで思わぬ話を聞く。なんでも今回客演の男優Kのお父さんは、「3・11」から半年もしないうちに福島のいわき市に一人で移り住み、反原発運動に頑張っているという。
 「こんなメールが時々、送ってくるんですよ」というスマホのメールを見せてもらえば、これは論文か?
と思うほどに詳細な報告レポートがびっしり。
 すごいね。そんな強者もいるんだね。痴呆症のおじいちゃんに振り回されることなく、我が身も我が身で、できることに打ち込まなければ。
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春を迎える時期もそれぞれ。
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2013年04月07日

何の役にも立たない。――[1116]生誕19,685日

 目が覚めて、「おお、そういえば今日締め切りの原稿があったのだった、仕上げねば」と、まだだるさのとれぬ体を引きずって起き出し、午前中はせっせと文筆業に勤しむ。

 午後、事務所に出かける。劇団メンバーがDM発送作業に精を出す中、座長は手を動かすこともなく、だらだらと好き勝手なことを喋りまくって、それじゃ、と颯爽と出ていく。(邪魔しに行っただけという話ですな)

 夜、知り合いの俳優が出ている芝居、『太陽よ、汝は動かず』を下北沢のOFFOFFシアターで観る。ずいぶん久しぶりのこの劇場、なんだか広くなって様子が変わっているような。振り返って考えると、シモキタで芝居を打たなくなって相当な年月が経っていることに思い当たる。スズナリで2005年に上演した『Dの呼ぶ声』、あれ以来のご無沙汰。8年以上もシモキタとは疎遠になっていたんだと妙に感慨深くなる。

 芝居が終わって事務所に向かうと、まだまだ時間が掛かって大変だろうなぁと思っていたDM作業はちょうど終わりを迎える頃で、結局、何の役にも立たないまま座長はしばし油を売ったのち、すごすごと家に帰る。
 このところ役に立たないだけでなく、「何も生産していない日々」が続いている気がして、焦燥感だけが募る。

 4月がスタートしたぁ! と思ったばかりなのに早くも1週間が過ぎている。いい加減に「追われまくりの芝居モード」に頭も体も切り換えなければ、新作の幕が開きません。
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木に自転車をくくりつけて停める人はいません。
と、天の邪鬼はそう思う。
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2013年04月06日

いまいましい雨。――[1115]生誕19,684日

 強い雨の降るなか、西新宿の稽古場から自宅に戻ってみると、ものの見事に濡れネズミ。稽古場→西新宿駅、我が家の最寄り駅→自宅。外を歩いた距離はたったこれだけだというのに(計15分くらい)、靴の中はぐじゅぐじゅ、ズボンの裾からも上着の袖からも水滴がダラダラしたたり落ち、おまけに背負っていたリュックの中の書類までびちょびちょ。できあがったばかりの『恐怖が始まる』のチラシも50枚くらいが一気にパー。もう使いものになりません。まったくもって雨、いまいましい。

 そんな雨降るなか、今日はワークショップ2日目。昨日の「何やるの?何やらされんの?」といった緊張感もなく、参加者も楽しみながらワークに取り組んでくれて、まずはめでたし。

 と、腹黒い演出家が和気あいあいムードをそのまま野放しにしておくはずもなく、台詞のワークに入るや、「君ね今、話しかけてないから」「この台詞、誰に向けて言ってると思ってる?」「そのオッサンオッサンした喋り、なんとかなりませんかね」……。まぁ、よくも次から次にいじり(いびり?)の言葉がぽんぽん飛び出すもんだと我ながら感心する。

 今回は夜10時と終わりが遅かったので、懇親会はなし。次回のワークショップは6月16日(日)。皆の者、心して待て。
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一番搾りが、こんな邪道に手を出すなんて……。(泣)
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2013年04月05日

見飽きません。――[1114]生誕19,683日

 久々の開催となったワークショップでリフレッシュ。

 集まった男女20名以上でわっせわっせとウォーミングアップに汗を流すと、たちまち室内はむんむん。それにもめげずに、体を酷使するワークを次々にやってもらう。(演出家はちょちょいとやってみせるだけ、ご老体は無理しない)

 その後は川津羊太郎さんの新作戯曲『虚人の世界』の抜粋をテキストに、「台詞を聞く・台詞を言う」の実践。まったく新しい顔が何人もいるので、突然奇声をあげる大学生、台詞になった途端にあれあれ?と気取って構えるオッサン、小さい体をこれでもかと駆使してやたらと動き回る若き女優、劇団メンバーにはない反応が返ってくるので、演出家は少しも見飽きません。
 もちろん目ざとい演出家は、参加者のクセを見抜いてたちどころにダメを出し、いじり始める。(真っ黒だよ、この男)

 予定の4時間は、あっという間におしまい。

 その後、我が劇団のベテランO、女優Sと居酒屋に流れて今日のワークショップの感想なんぞを言い合い、秋の芝居のキャスティングについてもあーだこーだと意見し合う。

 といっても酒を飲みながら、つまみに食らいつきながらの話ゆえ、今イチ成果が上がらなかったように思うのは俺だけか?
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上へ上へ。
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2013年04月04日

そんなことも知らない。――[1113]生誕19,682日

 朝から通勤ラッシュで混み合うなか、中央線→埼京線→宇都宮線→東北新幹線と乗り継いで、郡山へ。
 10時20分に到着してホームに降りると、あまりに人がいないので、少々困惑。もしや、こちらの人々はこんなに出歩かなくなっているのか?と、日頃は原発のことなど考えもせずにのほほんと暮らしているヨソ者はあらぬことばかりを考える。

 改札を出ると、「がんばれ! 東北 がんばろう、福島・郡山」の立派な看板が掲げられ、「3・11」から2年あまり経った今も、当時とさほど変わっていませんよと改めて思い知らされる。

 その後、仮設住宅が建ち並ぶエリアに移動。簡易な造りの平屋集合住宅が所狭しと建ち並ぶ風景は、まるで奇妙な別世界。強制的にこの場所に移らざるを得なかった人たちの心境を思うと、さすがにのほほん頭にもその無念さが浮かぶ。
 2年近くが経った仮設住宅は、すでにあちこちに傷みが伺える。「仮設ってのは2年なんですよ。だいたい2年で出るっていう前提で造ってますからね」と案内してくれた人が言う。「なのに、あと2年、延長が決まったんですよ。ほったらかしですよ」

 ヨソ者はそんなことも知らない。

 それから仮設住宅群の一角にある「おだがいさまセンター」にお邪魔する。「おたがいさま」ではなく、「おだがいさま」。たぶん福島弁。中はテーブルと椅子が喫茶店のようにいくつも並び、我が身も勧められるままコーヒーなんぞをいただく。

 そのテーブルを囲んで、たぶん仮設の住人たちが井戸端会議のように近況報告なのか、笑顔であちこちに話の花が咲いている。驚いたことに室内には区切られたブースがあり、そこはなんと地元のFM局。結構、本格的な装備。情報交換、コミュニケーション、それが一番大事。そういうことなんだね、たぶん。

 その後は場所を変えて、今は郡山で暮らすTさん夫婦に震災後のあれこれを詳しく聞く。旦那さんは我が身より一つ年上で、元福島原発の作業員。まぁ、聞けば聞くほど驚くような話のてんこ盛りで、のほほん頭にしっかりカツを入れられる。

 あろうことかTさん夫婦には食事までごちそうになって駅まで送ってもらい、夕方の新幹線に飛び乗る。

 時を遡り、新聞記者のような一日であった。

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人一人いないプラットホーム。

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がんばろうよ、みんな。

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奇妙な別世界。

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コーヒー、おいしゅうございました。
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2013年04月03日

すっかり蚊帳の外。――[1112]生誕19,681日

 雨・風が吹き荒れる春の嵐のなか、お昼前から東池袋に足を運び、あうるすぽっとで音楽劇『二十四の瞳』を観る。今回、再々演。我が身が脚本を担当しているのだが、脚本だけの参加で再々演ともなると、まるで一般のお客さんと変わらない。「お時間よろしければ、是非お越しください」とメールが入るのみ。なんだかすっかり蚊帳の外に置かれたようで寂しい。まぁ、稽古スケジュールがばっちり送られてきて「何日間、来られますか?」と問い質されても困るのだが。

 ところでこの芝居、我が劇団の女優Yも出演しているのだが、終演後に女性楽屋を訪ねて呼んでもらったところ、来るとは言ってなかった我が顔を見るなり、Yは「げーーっ!」と言い放ちやがった。なんなんだ、「げーって」。吐き気でも催すのか?

 夜は劇団の制作会議。7時から延々11時すぎまで。

 長い……。長すぎる……。今日は今後の方針に関わる議題もあったので致し方ないとはいえ、それでも大半は事務的に決められることが多いのに、これがなかなか進まない。やはり、会議は「事前の準備」で決まる。次回からはそう徹底せねばと、疲れ果てた頭でぼんやり思う。
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『二十四の瞳』、日曜日まで上演中。
泣けます。(たぶん。作者自ら何度も涙しましたから)
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2013年04月02日

ヒッキーとなって。――[1111]生誕19,680日

 連載1111回。見事に「1」が並んだ。別に求められてるわけでもないのに始めたブログも丸3年を経過。なんども挫折しそうになりながら、よくもってるなぁと我ながら感心。そんなささやかな喜びをヨソに、今日は一日、外は雨……。

 冬ごもりの日々に戻ったかのようにヒッキーとなって、おりゃおりゃおりゃと書き物仕事にハッパをかける。いや、かけようと思うのだが気ばかり急いて、進み具合はすこぶる悪く、これは肩凝りのせいだ、体がバキバキに固まっているから集中力が続かないんだと、もっともらしいオノレへの言い訳を思いつくや、迷わずマッサージに駆け込む。(こういうときの行動は素早い)

 いつものように「固まってますね」とニーチャンにフフフ、と笑われながら(なぜ笑みが?)、拷問のようなグリグリ攻撃を受け続ける。首筋は今や首の真横、顎の下あたりにまで凝りが広がり、どこを押されても痛みが走る。

 約1時間ののち、体が軽くなった実感はほとんどないまま、再び囚人のようにパソコンの前にへばりつく。

 シリアでは民主化デモが始まって、丸2年が経過。今ではいつ終わるとも知れない泥沼の内戦状態が続いているが、3月の死者は6005人にのぼったという(反体制派組織「シリア人権監視機構」発表)。このうち子どもが298人、女性が291人。内戦とは無縁の人たちが巻き込まれる数も確実に増えている。
 この2年あまりに命を奪われた人の合計は6万2554人と、にわかには想像しがたい数に及ぶ。

 恐ろしい。あまりにも恐ろしい。毎日毎日死と隣り合わせに生きねばならないシリアの現状も恐ろしいが、国際社会が「我、関せず」とばかりにソッポを向いているとしか思えない状況はいっそう空恐ろしい。ここでは命があまりにも軽い。(こんなことしか書けない我が身が情けない)
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桜天井。平年なら今ごろが見頃。
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2013年04月01日

いいのか、こんな人生で。――[1110]生誕19,679日

 4月に突入。早くも2013年、4分の1が終了。ほんとにあっという間だ。いいのか、こんな人生で。

 3月は異常とも思えるほど暖かかったのに、ここに来て一気に花冷え。真冬に逆戻りしたかのような、老人には過酷な天気が続く。新年度スタートだというのに、寒いったらありゃしない。これじゃ体も心も縮こまる。

 今年はこの先、5月(オリジナル新作)、6月(学校公演)、7月(新進劇作家の新作)、8月(DOCS)、9月(新国立演劇研修所)、11月(翻訳ドキュメンタリーシアター)と演出の仕事が6本も待ち構えているというのに、その先の12月(翻訳劇)の芝居の打ち合わせ。

 いざ稽古スケジュールを立て始めると、いやあ、まるで時間がない、というか、開いてる日が滅法少ない。それでもなんとか稽古日を確保していくと、今年の後半は見事にOFFがなくなって埋まってしまう。あちゃー。今年は意地でもスハードケジュールの合間を縫ってロンドンに行くぞーと目論んでいたのだが、だんだん見果てぬ夢になってしまいそうで気持ちが萎える。いいのか、こんな人生で。

 50歳を過ぎて、50の手習いとばかりに、人生でまだやったことのないあれやこれやを今年はやり始めるぞーと年初に固く誓ったのに、日々の忙しさに負けていく我が身が哀しい。じっと手を見る。(見なくていいです)
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5月の新作。チラシに使用する古川タクさんのイラスト。
味わい深い。
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