2010年06月16日

老い日記[90]――生誕18,658日/禁煙43日目

 
 中1日だけの東京生活という慌ただしいスケジュールで、今日は九州・熊本へ。前回の教訓を生かし、乗り換え時刻を事前にネットで調べて出発したので、不安はまったくなし。だが仮眠どころか書きもの仕事に追われて、あろうことか完全徹夜。体力・気力に大きな不安を抱えて羽田に向かう。
 今回は劇団の俳優O、女優Sも同行。待ち合わせは搭乗口だったはずだが、羽田に着くとOから電話。「今、宮崎のMさんと一緒にいるよ」
 Mさんは去年、「みやざき演劇祭」でもお世話になった宮崎のフリーアナウンサー&地元女優。今日は「語り」の稽古のために先ほど上京し、Oと羽田でばったり会ったらしい。Mさんは宮崎の悲惨な状況を最近何度かメールで送ってくれたのだが、口蹄疫の被害は今や畜産業界だけにとどまらず、県民の生活全般に及び、かつてない危機的状況が底なし沼のように続いている。主要キー局はなぜニュースでそれを連日報道しないのか。これは一地方に限った不幸ではない。それこそ政治主導で対策を打つべき全国規模の社会問題だろうに。
 2年前に「日本人の危機管理意識の低さ」をテーマに『流れる庭』という芝居をつくったが、つくづく日本人は経験を学習にしないと情けなく思う。今年の「みやざき演劇祭」も中止になるやもしれぬとのこと。悲しい。そして空しい。頑張れ、宮崎。頑張れ、立ち上がってくれ。

 機内では直ちに爆睡、といきたかったのだが、憤懣やるかたない口蹄疫問題を引きずってかあまり眠れず。がっくんがっくん首を揺らしながら、浅い眠りを漂う。
 昼過ぎに熊本空港着。リムジンバスで市内に出て昼食を済ませ、熊本県立劇場へ。打ち合わせを簡単に話して、そのまま3時からの「制作発表」になだれ込む。
 会場の壇上には熊本演劇界の大黒柱的存在のHさん、今回上演する2本の芝居『上通物語』『メランコリーの予感』、それぞれの劇作家I・Mさん&I・Mさん(イニシャルがまったく同じ)、そして俳優O&S、睡眠不足の演出家が並ぶ。地元のテレビ局、新聞社が集まってはいるものの、TVカメラは3台と思いのほか少なくて一気にテンションが下がる。このやる気のなさをマスコミに見透かされたのか、質疑応答では誰からも手が挙がらず、1時間足らずで終了。

 その後はさらに拷問のような激烈スケジュールで進行。
 まず、2作品合同で全員の顔合わせ。溌剌とした「よろしくお願いします」が何度も飛び交う(その数、30以上か)。続いて、子役の小学生を早く帰さないといけないので、その場面だけを拾って『上通物語』の読み合わせ。
 その後45分の食事休憩を挟み、ウォーミングアップ&発声。6時から『メランコリーの予感』を、続いて改めて頭から『上通物語』を読む。1本終わるごとに、出演者を中心に戯曲についての意見を出し合ってもらったのだが、最初は遠慮していた地元俳優陣もつつけば出る出る。「第1稿よりも散漫な印象を受ける」「前より出番が少なくなっている」「気持ちの繋がりがこれで表現できるのか」……。これに睡眠不足の演出家もここぞばかりに場を仕切りつつ自らも意見しまくり、「みんな一丸となって2作品、いい舞台にしようぜ」と盛り上がる。(俺だけ?)
 結局、退館時間の10時を大きくオーバーして、終了は11時半すぎ。さらにそれから2作品の作家2人、演出助手2人と今後の戯曲改稿、稽古の進め方について、別室で打ち合わせ。
 すべてを終えて「お疲れさま」とタクシーに乗り込んだ時には、とっくに日付が変わっていた。

 ぐったりと疲れを引きずりながらもチェックインを済ませ、俳優O&Sと繁華街に出る。目当てのラーメン屋を探して、しばらく彷徨うが見つけられず、やむなく焼鳥屋へ。その店主に尋ねると、富士ラーメンは5年ほど前に郊外のほうに移転したという。ああ、もう富士ラーメンとの再会は叶わないのか。これで熊本に来る楽しみが減ったな、などと思っていると、目の前で女優Sがジョッキの生ビールを次から次に狂ったように飲み干していく。まさに浴びるように、5杯。ピロリ菌の薬で禁酒中の我が身は、その様子を呆然と眺めるのみ、半ば恐怖におののきながら。
 
制作発表会.jpg
制作発表会場には、立派な看板が掲げられ、ちょっと気恥ずかしい。
posted by 老い日記 at 23:30| Comment(0) | 日記
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