2012年05月21日

視線が痛い。――[795]生誕19,364日

 S高校での授業のため、午前中から北西方面へとバスに乗り電車に揺られていると、そのS高のY先生から着信がある。ちゃんとそちらに向かってますよ、と思いながらも何ごとだろうと乗換駅で電話してみる。
 「古城先生、今どちらですか?」「所沢です」「ああ……」。その「ああ……」に無念の響きを感じたので、これは何かあったんなら力にならねばと思い、「何ですか?」と水を向けると、「今日、11時半から打ち合わせをお願いしてたと思うんですが」。
 「ああ……」と今度は我が身が無念の声を響かせる。原因はこの痴呆症演出家であった。「すいません、忘れてました」と青ざめながら時計を見ると、既に正午になろうとしている。
 「じゃあ、こちらで進めておきますので……」。Y先生の声に怒りというより哀れみの響きを感じたのは気のせいか。

 稽古場にたどり着くと、美術家、照明家、音響家、舞台監督の方々からさらに一斉に哀れみの視線を浴びる。ああ、さげすむような、その視線が痛い。

 女子高生軍団との稽古は今日もなかなか先へと進めない。後半、さげすみ目線のスタッフ陣が稽古見学に加わったので冒頭から再び返すが、できているところは半分もないので、またまた「困ったモンだな」という視線を浴びつつ、演出家はますます肩身が狭くなる。

 針のむしろのような稽古は、ようやく5時におしまい。「こりゃホントにどうにかしないと公演、間に合わないぞ」と焦り始めた演出家は「お疲れ様でした」と終わったはずなのに、「あ、やっぱりダメ出しをいくつか言っておくから、ちょっと集まって」と勝手なことを言う。それから「あそこはこう、ここはこう」と細かいことまでまくしたて、「はい、じゃあ解散」と告げると、女子生徒の一人が急に「サン、ハイっ!」と声をあげる。何事かと思えば、「ハッピバースデートゥーユー」の大合唱。いやいや、オッサンはもう誕生日終わってるから、こっぱずかしから、と思いながらも歌が終わると、このアホ演出家は「で、ケーキは?」などとほざいている。

 それから小旅行のように電車を何度も乗り継いで久我山へ。本日は稽古のダブルヘッダー。

 我がワンツーワークスの基礎稽古に心を新たに臨むものの、若手の技術力の至らなさに半ば呆然となり、日中の負い目を払拭するかのごとく、次第次第に若者狩りの牙をむく。
2012-05-21.JPG

美しい! と思って撮ったものの、花の名前がわかりません。

すかさず、「美しさに名前なんて要らない」と痴呆症の我が身に言い聞かせる。

posted by 老い日記 at 00:00| Comment(2) | 日記
この記事へのコメント
写真の花の名前
多分「ポピー」だと思います。
別名「ひなげし」です。
花言葉は「感謝」だそうです。

ちなみに 古城先生の誕生花は 「フクシア」です。
お誕生日おめでとうございます♪
Posted by てまり at 2012年05月24日 18:13
フクシア?
またまた知らない名前ですが、調べてみます。

つくづく我が身は「花」と無縁の人生なのだと、思い知らされました。

ご教授、ありがとうございました。
Posted by 古城十忍 at 2012年05月25日 00:28
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