2012年12月29日

突然の告白。 ――[1017]生誕19,586日

 午後3時から、舞台美術家Iさんと事務所で次回公演『奇妙旅行』の美術打ち合わせ。
 ……のはずが、認知症演出家は時間を間違えていて、Iさんを1時間近くも待たせてしまう。あちゃー。

 我が認知症、だんだん笑えない状態になりつつある。

 事務所では劇団メンバーの若手女優M&Hが早くも、その『奇妙旅行』の小道具製作に着手している。偉い。立派。

 そう思いながらも自己チュー演出家は打ち合わせが終わるとさっさと事務所をあとにする。

 夜は日本演出者協会の忘年会に顔を出す。去年よりも若い人の姿が目立ち、見知った顔が少なく、少々がっかり。それでも演劇評論家のMさんなどと久々に話す。
 そのMさんが今、注目しているという劇団の演出家を紹介されたのだが、その演出家は我が名前を聞くなり、「おお」と目を見開いた顔で「高校の部室に戯曲が並んでた人だ」だって。
 その言葉が我が身には「相当、オッサンな人だ」と聞こえ、急激に老け込んだ気分になる。
 その後も何人かの演劇人とあれこれ話し(劇団Sの演出家にはあろうことか、ダメ出しもして)、忘年会は3本締めで終了。すっかり疲れ果てた演出家は2次会には行かず、ここで退散。
 帰り際、店のドア前に30代(20代?)と覚しき男性が立っていて、その前をすり抜けて出ようとしたら突然その彼に、「古城さんの芝居、好きです」と言われる。「ワンツーワークスの芝居、何本か観に行ってます」。

 突然の告白にオッサンは年甲斐もなく照れ、「あ、ありがとうございます」と素っ気なく答えて帰途に就く。いやいや、忘年会に顔を出した甲斐がありました。(えへへ)

 NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』の「イチロースペシャル」を観る。実に見応え十分。丁寧な取材と、イチロー選手の葛藤が行間に滲み出るような編集。ドキュメンタリーの手本となるような、実にいい仕事だった。
 イチロー選手はいつしか頭髪にも白髪が相当目立つようになっていて、顔はますます修行僧のよう。繰り出す言葉も哲学者のごとし。
 「身体の元気な時に選手でいて、終わったあとに何かを知る、というパターンが多いと思うんですけど、それはさびしい。できれば僕は選手の時にそれをつかみたいんですよね」
 「(どうなったらそれがつかめるかは)まったくわからない。だから、こういう思い、そういう覚悟も持てるんでしょうね」 「まったくわからないから、ありったけでいられるということなんだと思います」

 すげぇ。自分のことを常に「ありったけでいる」と言い切れるその自信。そしてそれを実践し続けている実行力。怠け者のオッサン演出家にはとても言えない。39歳というとっくにピークの過ぎた自分の肉体を、自分の言葉通りに、ありったけ追い込み、ありったけ分析し、ありったけ練習に明け暮れる。ひたすら尊敬。日本人でイチロー選手を嫌いな人っているのだろうか。
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せめて気分だけでも。
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(0) | 日記
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