2013年04月08日

強者もいる。――[1117]生誕19,686日

 新作『恐怖が始まる』の稽古がスタート。
 いやはや、早いね、時の流れ。待ってもくれないし、歩みを緩めてもくれない。気持ちのほうが全然追いついてくれないね。
 などとは、もちろん言ってる場合ではないので、粛々とやるべき稽古を進めてゆくのみと思って気持ちを新たに稽古場に入れば、ベテランOが壁にもたれ足を投げ出して座り、「ここはどこ…?
私は誰…?」といった風情で、わっせわっせとアップに汗を流すみんなの輪から独り外れて、ぽつねんとしている。
 「なに、具合悪いの?」と聞けば、「すっごく悪い」とひと言。
 なんだよ、稽古初日だというのにやる気をそがれるなぁと思いつつ、「じゃ帰れば?」と言うと、「……ウン」と心ここにあらずの返事で動こうとはしない。何だよ、帰らないのかよと思っていると、しばらくしてから今ようやく頭の回路が繋がったかのように、「帰って寝るか」と誰に言うでもない声を出して、おじいちゃんはすごすごと帰って行く。
 風邪とかじゃなく、痴呆症なんじゃね? 見送りながら、演出家は暗澹たる気持ちでそう思う。

 稽古後、客演の俳優も含め5人で居酒屋に流れる。
 芝居にまつわる四方山話のあとに原発の話題になったところで思わぬ話を聞く。なんでも今回客演の男優Kのお父さんは、「3・11」から半年もしないうちに福島のいわき市に一人で移り住み、反原発運動に頑張っているという。
 「こんなメールが時々、送ってくるんですよ」というスマホのメールを見せてもらえば、これは論文か?
と思うほどに詳細な報告レポートがびっしり。
 すごいね。そんな強者もいるんだね。痴呆症のおじいちゃんに振り回されることなく、我が身も我が身で、できることに打ち込まなければ。
2013-04-08.JPG
春を迎える時期もそれぞれ。
posted by 老い日記 at 00:00| Comment(0) | 日記
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