2013年04月07日

何の役にも立たない。――[1116]生誕19,685日

 目が覚めて、「おお、そういえば今日締め切りの原稿があったのだった、仕上げねば」と、まだだるさのとれぬ体を引きずって起き出し、午前中はせっせと文筆業に勤しむ。

 午後、事務所に出かける。劇団メンバーがDM発送作業に精を出す中、座長は手を動かすこともなく、だらだらと好き勝手なことを喋りまくって、それじゃ、と颯爽と出ていく。(邪魔しに行っただけという話ですな)

 夜、知り合いの俳優が出ている芝居、『太陽よ、汝は動かず』を下北沢のOFFOFFシアターで観る。ずいぶん久しぶりのこの劇場、なんだか広くなって様子が変わっているような。振り返って考えると、シモキタで芝居を打たなくなって相当な年月が経っていることに思い当たる。スズナリで2005年に上演した『Dの呼ぶ声』、あれ以来のご無沙汰。8年以上もシモキタとは疎遠になっていたんだと妙に感慨深くなる。

 芝居が終わって事務所に向かうと、まだまだ時間が掛かって大変だろうなぁと思っていたDM作業はちょうど終わりを迎える頃で、結局、何の役にも立たないまま座長はしばし油を売ったのち、すごすごと家に帰る。
 このところ役に立たないだけでなく、「何も生産していない日々」が続いている気がして、焦燥感だけが募る。

 4月がスタートしたぁ! と思ったばかりなのに早くも1週間が過ぎている。いい加減に「追われまくりの芝居モード」に頭も体も切り換えなければ、新作の幕が開きません。
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木に自転車をくくりつけて停める人はいません。
と、天の邪鬼はそう思う。
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2013年04月06日

いまいましい雨。――[1115]生誕19,684日

 強い雨の降るなか、西新宿の稽古場から自宅に戻ってみると、ものの見事に濡れネズミ。稽古場→西新宿駅、我が家の最寄り駅→自宅。外を歩いた距離はたったこれだけだというのに(計15分くらい)、靴の中はぐじゅぐじゅ、ズボンの裾からも上着の袖からも水滴がダラダラしたたり落ち、おまけに背負っていたリュックの中の書類までびちょびちょ。できあがったばかりの『恐怖が始まる』のチラシも50枚くらいが一気にパー。もう使いものになりません。まったくもって雨、いまいましい。

 そんな雨降るなか、今日はワークショップ2日目。昨日の「何やるの?何やらされんの?」といった緊張感もなく、参加者も楽しみながらワークに取り組んでくれて、まずはめでたし。

 と、腹黒い演出家が和気あいあいムードをそのまま野放しにしておくはずもなく、台詞のワークに入るや、「君ね今、話しかけてないから」「この台詞、誰に向けて言ってると思ってる?」「そのオッサンオッサンした喋り、なんとかなりませんかね」……。まぁ、よくも次から次にいじり(いびり?)の言葉がぽんぽん飛び出すもんだと我ながら感心する。

 今回は夜10時と終わりが遅かったので、懇親会はなし。次回のワークショップは6月16日(日)。皆の者、心して待て。
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一番搾りが、こんな邪道に手を出すなんて……。(泣)
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2013年04月05日

見飽きません。――[1114]生誕19,683日

 久々の開催となったワークショップでリフレッシュ。

 集まった男女20名以上でわっせわっせとウォーミングアップに汗を流すと、たちまち室内はむんむん。それにもめげずに、体を酷使するワークを次々にやってもらう。(演出家はちょちょいとやってみせるだけ、ご老体は無理しない)

 その後は川津羊太郎さんの新作戯曲『虚人の世界』の抜粋をテキストに、「台詞を聞く・台詞を言う」の実践。まったく新しい顔が何人もいるので、突然奇声をあげる大学生、台詞になった途端にあれあれ?と気取って構えるオッサン、小さい体をこれでもかと駆使してやたらと動き回る若き女優、劇団メンバーにはない反応が返ってくるので、演出家は少しも見飽きません。
 もちろん目ざとい演出家は、参加者のクセを見抜いてたちどころにダメを出し、いじり始める。(真っ黒だよ、この男)

 予定の4時間は、あっという間におしまい。

 その後、我が劇団のベテランO、女優Sと居酒屋に流れて今日のワークショップの感想なんぞを言い合い、秋の芝居のキャスティングについてもあーだこーだと意見し合う。

 といっても酒を飲みながら、つまみに食らいつきながらの話ゆえ、今イチ成果が上がらなかったように思うのは俺だけか?
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上へ上へ。
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2013年04月04日

そんなことも知らない。――[1113]生誕19,682日

 朝から通勤ラッシュで混み合うなか、中央線→埼京線→宇都宮線→東北新幹線と乗り継いで、郡山へ。
 10時20分に到着してホームに降りると、あまりに人がいないので、少々困惑。もしや、こちらの人々はこんなに出歩かなくなっているのか?と、日頃は原発のことなど考えもせずにのほほんと暮らしているヨソ者はあらぬことばかりを考える。

 改札を出ると、「がんばれ! 東北 がんばろう、福島・郡山」の立派な看板が掲げられ、「3・11」から2年あまり経った今も、当時とさほど変わっていませんよと改めて思い知らされる。

 その後、仮設住宅が建ち並ぶエリアに移動。簡易な造りの平屋集合住宅が所狭しと建ち並ぶ風景は、まるで奇妙な別世界。強制的にこの場所に移らざるを得なかった人たちの心境を思うと、さすがにのほほん頭にもその無念さが浮かぶ。
 2年近くが経った仮設住宅は、すでにあちこちに傷みが伺える。「仮設ってのは2年なんですよ。だいたい2年で出るっていう前提で造ってますからね」と案内してくれた人が言う。「なのに、あと2年、延長が決まったんですよ。ほったらかしですよ」

 ヨソ者はそんなことも知らない。

 それから仮設住宅群の一角にある「おだがいさまセンター」にお邪魔する。「おたがいさま」ではなく、「おだがいさま」。たぶん福島弁。中はテーブルと椅子が喫茶店のようにいくつも並び、我が身も勧められるままコーヒーなんぞをいただく。

 そのテーブルを囲んで、たぶん仮設の住人たちが井戸端会議のように近況報告なのか、笑顔であちこちに話の花が咲いている。驚いたことに室内には区切られたブースがあり、そこはなんと地元のFM局。結構、本格的な装備。情報交換、コミュニケーション、それが一番大事。そういうことなんだね、たぶん。

 その後は場所を変えて、今は郡山で暮らすTさん夫婦に震災後のあれこれを詳しく聞く。旦那さんは我が身より一つ年上で、元福島原発の作業員。まぁ、聞けば聞くほど驚くような話のてんこ盛りで、のほほん頭にしっかりカツを入れられる。

 あろうことかTさん夫婦には食事までごちそうになって駅まで送ってもらい、夕方の新幹線に飛び乗る。

 時を遡り、新聞記者のような一日であった。

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人一人いないプラットホーム。

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がんばろうよ、みんな。

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奇妙な別世界。

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コーヒー、おいしゅうございました。
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2013年04月03日

すっかり蚊帳の外。――[1112]生誕19,681日

 雨・風が吹き荒れる春の嵐のなか、お昼前から東池袋に足を運び、あうるすぽっとで音楽劇『二十四の瞳』を観る。今回、再々演。我が身が脚本を担当しているのだが、脚本だけの参加で再々演ともなると、まるで一般のお客さんと変わらない。「お時間よろしければ、是非お越しください」とメールが入るのみ。なんだかすっかり蚊帳の外に置かれたようで寂しい。まぁ、稽古スケジュールがばっちり送られてきて「何日間、来られますか?」と問い質されても困るのだが。

 ところでこの芝居、我が劇団の女優Yも出演しているのだが、終演後に女性楽屋を訪ねて呼んでもらったところ、来るとは言ってなかった我が顔を見るなり、Yは「げーーっ!」と言い放ちやがった。なんなんだ、「げーって」。吐き気でも催すのか?

 夜は劇団の制作会議。7時から延々11時すぎまで。

 長い……。長すぎる……。今日は今後の方針に関わる議題もあったので致し方ないとはいえ、それでも大半は事務的に決められることが多いのに、これがなかなか進まない。やはり、会議は「事前の準備」で決まる。次回からはそう徹底せねばと、疲れ果てた頭でぼんやり思う。
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『二十四の瞳』、日曜日まで上演中。
泣けます。(たぶん。作者自ら何度も涙しましたから)
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2013年04月02日

ヒッキーとなって。――[1111]生誕19,680日

 連載1111回。見事に「1」が並んだ。別に求められてるわけでもないのに始めたブログも丸3年を経過。なんども挫折しそうになりながら、よくもってるなぁと我ながら感心。そんなささやかな喜びをヨソに、今日は一日、外は雨……。

 冬ごもりの日々に戻ったかのようにヒッキーとなって、おりゃおりゃおりゃと書き物仕事にハッパをかける。いや、かけようと思うのだが気ばかり急いて、進み具合はすこぶる悪く、これは肩凝りのせいだ、体がバキバキに固まっているから集中力が続かないんだと、もっともらしいオノレへの言い訳を思いつくや、迷わずマッサージに駆け込む。(こういうときの行動は素早い)

 いつものように「固まってますね」とニーチャンにフフフ、と笑われながら(なぜ笑みが?)、拷問のようなグリグリ攻撃を受け続ける。首筋は今や首の真横、顎の下あたりにまで凝りが広がり、どこを押されても痛みが走る。

 約1時間ののち、体が軽くなった実感はほとんどないまま、再び囚人のようにパソコンの前にへばりつく。

 シリアでは民主化デモが始まって、丸2年が経過。今ではいつ終わるとも知れない泥沼の内戦状態が続いているが、3月の死者は6005人にのぼったという(反体制派組織「シリア人権監視機構」発表)。このうち子どもが298人、女性が291人。内戦とは無縁の人たちが巻き込まれる数も確実に増えている。
 この2年あまりに命を奪われた人の合計は6万2554人と、にわかには想像しがたい数に及ぶ。

 恐ろしい。あまりにも恐ろしい。毎日毎日死と隣り合わせに生きねばならないシリアの現状も恐ろしいが、国際社会が「我、関せず」とばかりにソッポを向いているとしか思えない状況はいっそう空恐ろしい。ここでは命があまりにも軽い。(こんなことしか書けない我が身が情けない)
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桜天井。平年なら今ごろが見頃。
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2013年04月01日

いいのか、こんな人生で。――[1110]生誕19,679日

 4月に突入。早くも2013年、4分の1が終了。ほんとにあっという間だ。いいのか、こんな人生で。

 3月は異常とも思えるほど暖かかったのに、ここに来て一気に花冷え。真冬に逆戻りしたかのような、老人には過酷な天気が続く。新年度スタートだというのに、寒いったらありゃしない。これじゃ体も心も縮こまる。

 今年はこの先、5月(オリジナル新作)、6月(学校公演)、7月(新進劇作家の新作)、8月(DOCS)、9月(新国立演劇研修所)、11月(翻訳ドキュメンタリーシアター)と演出の仕事が6本も待ち構えているというのに、その先の12月(翻訳劇)の芝居の打ち合わせ。

 いざ稽古スケジュールを立て始めると、いやあ、まるで時間がない、というか、開いてる日が滅法少ない。それでもなんとか稽古日を確保していくと、今年の後半は見事にOFFがなくなって埋まってしまう。あちゃー。今年は意地でもスハードケジュールの合間を縫ってロンドンに行くぞーと目論んでいたのだが、だんだん見果てぬ夢になってしまいそうで気持ちが萎える。いいのか、こんな人生で。

 50歳を過ぎて、50の手習いとばかりに、人生でまだやったことのないあれやこれやを今年はやり始めるぞーと年初に固く誓ったのに、日々の忙しさに負けていく我が身が哀しい。じっと手を見る。(見なくていいです)
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5月の新作。チラシに使用する古川タクさんのイラスト。
味わい深い。
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2013年03月31日

なんという愛情。――[1109]生誕19,678日

 本日も基礎稽古をみっちり。

 午前中は書き物仕事に四苦八苦。気がつけば、あれあれ、もう午後になってるぞと、バタバタと西新宿の稽古場に向かう。今日も体が悲鳴を上げるのね、未だに昨日の筋肉痛はまったくほぐれないまま階段の昇り降りに苦労しながら。

 まずは昨日のおさらいでジャズダンスの後半を通り、やれやれ、なんとか行き倒れることもなく終わったぞと歓喜の声をあげるのも束の間、今度はさらに動きの激しいエアロビクスダンスに突入。
 もちろん、もはやオッサン演出家に体力なんぞ髪の毛ほども残ってはおらず、自ら進んで「叱咤激励係り」を志願。オノレの体はちょぼちょぼしか動かさず(動けず)、ひたすら解説をまくしたてるべく口だけを動かす(口はやたらと動く)。

 こちらもなんとか最後まで通り、通った途端に「ハイ、じゃ若手だけでやってみよう」と連続3回も踊らせる。なんという愛情。ここまで若手にチャンスを与えるなんて。

 その後ようやく肉体を酷使する稽古から解放されて、発声、セリフ術へと移行。こうなると演出家は本性を剥き出しにして、若手にビシバシとダメを出す。我がドSぶりを再確認しながら。

 午後10時に終了。今日も全身にヘドロのような疲れをまとって帰宅すると、体が重く、何もする気が起こらない。いやいや、溜まっている仕事を片付けなければと殊勝にもパソコンに向かうが、頭はさっぱり働かず。
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いつにまにやら流行語。日本人は飛びつくの、早いね。(冷めるのも早いけど)
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2013年03月30日

ドMのように。――[1108]生誕19,677日

 老体、久々の基礎稽古にガンバル。

 終わってみれば、午後1時から9時半まで、ドMのように若手劇団員に奉仕する。しかも終わってみれば、本日やったのはフロアストレッチとジャンズダンスのみ。ひたすらドMのように体を酷使させられる。オッサン演出家はもちろん座長特権で都合よく、「ハイ、んじゃ若手だけで」「じゃもう一遍、君らだけで」と卑怯な作戦に何度となく出る。

 しかし、衰えましたわ、我が体。リズムに合わせてぴょんぴょん動いていると、すぐに息も絶え絶え。昔は体そのものが、も少し軽かったよなぁ、と現実のむごさをしみじみ噛みしめる。
 しかしもちろん、そんなことはおくびにも出さず、若手のT(21歳)やら、昆虫人間のN(29歳)やら、やたらと下半身の重いH(33歳、若手じゃねーし)やらに、「違う違う、自分の体、よく見なよ」と、ひたすら罵声を浴びせる。攻撃は最大の防御。年老いていくと、地位を利用して小ずるいことだけがうまくなっていく。

 ところが途中の休憩時間に、昨日観てきた芝居の話をしたら、ベテランOが突然観に行くと言い出し、結果、ベテランOとその出来の悪い息子たち(男優ども)は、演出家の罵詈雑言から逃れることに成功。
 哀れ、同行したにもかかわらずキャンセル待ちで結局入れなかった若手女優2名だけがすごすごと帰ってきて、その後、ほぼマンツーマンでしごきを受けることに。(いやいや、しごきではなく稽古です、あくまで稽古)
 しかし終わってみれば、オッサン演出家も疲労困憊。あちこち悲鳴をあげる我が体を、これ間違いなく年寄りの冷や水だよね、といたわりながら、あへあへあへと帰路に就く。
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ちょっと休憩。ながーく、休憩。

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2013年03月29日

若さの特権か。――[1107]生誕19,676日

 午後、スタジオサンモールで劇団チョコレートケーキの『熱狂』を観る。この劇団の演出家とは昨年末の某忘年会で話す機会があり、一度観ておかなければという思いに駆られて急遽出かけたのだが、劇場に着いてみれば、新聞記者のSさん、劇作家・演出家のNさん、同じくSさん、加えて『奇妙旅行』に出てもらったばかりの女優Oちゃんと、知り合いがあっちにもこっちにもいて、劇団の注目度の高さが窺える。
 『熱狂』、文字通り、熱い熱い男たちの物語。終始テンション上げ上げMAXで、オッサンは途中やや疲れはしたが、喋り倒して2時間、最後まで疾走するエネルギーは若さの特権か。

 DVDで映画『桐島、部活やめるってよ』を観る。
 3年ほど前になるのか、すばる文学新人賞を受賞後に出版された原作の小説はすぐに買って読み始めたのだが、なんとも甘ったるくて途中で挫折。でも映画の好評価をあちこちで聞いていたので触手を伸ばしてみたのだが、結果、二重丸。これ、久々にスマッシュヒットでしょう。いや、面白かった。
 ただ、異なる視点で同じ場面を繰り返し見せる構成が評判となっていたが、ああ、これは2006年のオーストラリア映画『明日、君がいない』(傑作!)の二番煎じだと思ったものの、『桐島、部活やめるってよ』では、この手法を取ることで高校生のクラスの中でのヒエラルキーが次第次第に浮き彫りになっていく。そこが面白い。青春群像劇としてのクオリティを一気に押し上げている。
 俳優では神木隆之介の巧さが全編に安定感を与えているが、橋下愛の凛とした佇まいが眩しいほどに美しい。2012年日本アカデミー賞作品賞受賞。
 でもって、挫折していた小説も引っ張り出して読んだ。映画化に当たって登場人物のキャラクターおよび相関関係図がずいぶん変更されているが、やはり原作以上に映画のほうが出来がいいと思った。あの小説から、核心をシナリオに抽出して今どきの高校生の価値観を見事に映像化できたのは、ひとえに監督の才能なのか。
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この作家、直木賞も獲りましたね。
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